政治

対北戦略と日本の安全保障

2017/09/18


北朝鮮のミサイルについて、何かしら述べておいた方がいいかなと思って。

まず北朝鮮のミサイルは、方角は日本の方に向けて撃たれたが、アメリカ向けのメッセージ...というか要するに「米本土も狙えるミサイル持ってますよ。弾頭は何積んでるんでしょうね?」という示威行動だ。

北朝鮮の理屈としては、アメリカとの対等交渉で、現体制の存続を認めさせ、いずれは朝鮮半島を北主導で統一し、大国の干渉を排除するというのが中期的な目標だと個人的には見ている。長期的には世界征服なのかどうかは知らない(笑)。

北朝鮮は持ってる武器は 20-21 世紀のものだが、国家体制は絶対王政だ。金日成の孫である金正恩が国家の指導者として君臨している。中国が遅れてきた帝国主義だとしたら、北朝鮮はまだ中世に生きている。だから日本の常識で考えると彼らの理屈がわからない。

■意外に知られていない北朝鮮情報
・国際連合に加盟している。(1991 年加盟) (出典:国際連合広報センター)
・北朝鮮は 160 ヶ国以上と国交がある。国交がない国の方が少数派。(出典:NCNKじじろぐ)

民主主義国家は外国との利害調整をまず「話し合い」でやろうとするが、北朝鮮が目論む「米国との対等『交渉』」が「話し合い」であるかどうか疑わしい。北朝鮮は金正恩独裁であるために、まず国内の利害調整が「話し合い」でなされていない。そういう国が外国と「話し合い」をしようとするだろうか。北朝鮮の「交渉」とは、「一方的な通知」である可能性がある。「核ミサイル打ち込まれたくなきゃ我が国に要求するな、こちらの要求は呑め。返答はハイか YES で答えろ。さもなくば殺す」という具合だ。

こういう国には「遺憾の意」や「最も強い言葉での非難」なぞ何の効果もない。だからこそ単独では何もできない (と向こうに思われている) 日本の方向にミサイルが飛ぶ。中国やロシアの方向に撃って万が一かすりでもしたら即座に軍事的に報復を受けるが、日本の方だったら飛び越えるくらいなら問題ないと思われているからだ。

金と軍事力は効果がある

では北朝鮮には何が利くかと言えば、金と軍事力。この二つしかない。

北朝鮮が「グアムの近くにミサイル撃つ」と言った後、中国は「北が攻撃を受けたら同盟なので中国も応じざるを得ないが、北が先制攻撃した場合は知らん」と言った。そしてトランプ米大統領も「やる気なら相手になってやる」みたいなことをツイッターで言った。韓国には米韓同盟があり、在韓米軍も展開している。結果として、ミサイルは撃ったものの、北海道の東方に向けてのものになった。

これはつまり、現在の北朝鮮を直接攻撃できる軍事力については回避するということがわかる。

今回の一発目を撃った後、国連で今以上の経済取引は禁止というようなことが決まった。その後即座に二発目をより遠くに撃った。これは「おいやめろ」「それをやるともっと撃つぞ」アピールだと思われる。現在、北朝鮮との取引は国際的に制限がかかっている。これ以上経済活動を締められるとミサイル開発が進まないので、「そんなことすると暴れるぞ」アピールのミサイルを撃つという行動に出た。

北朝鮮というのは、国民 (という概念があるのか疑わしいが) が何万人餓死しようが、洪水や飢饉が起きようが、軍事開発に邁進してきた国だ。21 世紀初頭あたりまでの北朝鮮のビジネスモデルは「米と石油くれないと軍事的に暴れるぞ」というものだった。日本人の常識では考えられないが、そういう行動をとっていた。

それは基本的には変わっておらず、最近対韓国ではなく直接対米向けになってきたというだけの話だ。

こういう国を止める確実な方法と言うのは、現在のところ、ない。何しろ「話し合い」をする気がない。それは日本の拉致交渉が何年もナメられっぱなしなのを見てもわかる。

日本にまともな軍事力があって、安全保障もきちんと整備されていれば、「次に日本の方向に向けてミサイル撃ったら、その高度にかかわらず宣戦布告とみなす」と言うことができれば、ミサイルを撃つ方向がなくなるので、軍事的脅威を与えることができなくなる。その段階でようやく、こちらでいうところの「交渉」が始まる、かもしれない。

そもそも、そんなことができていれば、拉致被害者が拉致されて 40 年も放置されているということはあるはずもない。どうやら拉致されたらしいということがわかった段階で、「おい、うちの国民さらっただろ?今すぐ返さないと殺す」と言って日本海に駆逐艦を並べればいい。そういう砲艦外交で拉致被害者奪還ができたはずだし、その後の北朝鮮の軍事的拡大というのも相応に押さえられたはずだ。

というわけで、大国である日本にまともな軍事力がないから、国民は拉致されても取り返すことができず、さらには東アジア地域の不安定化の原因になり、挙句国連決議を出すまでになっている。遠く欧州の NATO までがコメントを出している (AFPBB / 時事通信)。

世界の姿をちゃんと見よう

物事を真面目に考える時が来ている。「アラートうるさい」などと言っている場合ではない。世界は平和ではなく、話し合いをする気がなくミサイルを撃つ国が隣にある。日本は既に他国から「拉致という実力での攻撃」を受けている。「日本は平和国家」などと寝言を言っていてはいけない。拉致被害者はどうなるんだ?それは残念ながら平和国家じゃなくて戦うべき時に戦うこともできない腑抜け国家だ。

大国がその国力に応じた役割を果たさないとむしろ戦乱を呼び込む。理性的な大国が地域の不安定化の要因をこまめに摘み取って行ってこそ、「平和」が保たれる。国連は利害調整の場であって、正義の味方ではない。要するに戦後の日本で、「世界」というものについて信じられていたことの多くは間違っていたということだ。

北朝鮮のことに限らず、結局、国対国は金と軍事力しかなく、利害の衝突、むき出しの欲望で動いているんだなあと思う。わが国には我が国の理屈と国益がある。外国 A にもその国の理屈と国益がある。こちらは話し合いと交渉をする気があるが、向こうにはその気がない。では、その時利害調整はどうやってやればいいんだ?これを考えないといけない。「それでも話し合う」で国民が死ぬかもしれないとしたら、その決断は間違っていることになる。

多分、時代が変わったのではないのだろうと思う。世界の原則はいつだって「最後には力ずくでも」だった。そこからひたすら目を背けていたのが戦後の日本だった。北方領土が占領されても、竹島が占領されても、拉致された国民がいても、尖閣諸島の領海に侵入されても、小笠原諸島でサンゴを根こそぎ盗まれても、大気圏外とはいえ自国の方角に向けてミサイルを撃たれても...、いったいいつまで続くんだろう?

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