ライブレポート

【ライブレポート】ASURA @吉祥寺CRESCENDO 2018/07/28

2018/08/09


この熱気と喝采を記録せねばなるまい!ということで、ダンスロックバンドを標榜する ASURA の三度目のワンマンライブの模様をレポートする。

直前に AKINA (Vo.) のノドの不調がアナウンスされ、この公演の完遂に一抹の不安を抱いたファンもいたかもしれない。

しかし、それが全く杞憂であったことは開演直後に AKINA 自らの歌声、そして ASURA のメンバー全員の充実したパフォーマンスによって実証された。

伸びやかなボーカル、計算された演出、バンドとしても一段ステップアップしたパフォーマンスによって、1 曲目からアクセル全開でのスタートとなった。

バンドが継続的に活動し続けるほど、「何か」が起こる確率は上がっていく。

体調を崩したり、病気やケガをしたり、あるいは本人以外の要素によって、バンドの活動に支障をきたすことが起こりうる。

そういうリスクは、人生の色々な要素のうちいくつかを捨ててもバンドを動かそうというエネルギーでヘッジされていくものなのだが、それを繰り返していくうちに傷だらけの状態になっていくこともある。

ただ、そういう状態にありながらも、こういうワンマンなどの乾坤一擲の大勝負の時に、むしろ史上ベストなパフォーマンスを繰り出してしまうバンドは強い。

「あいつらは持ってる」「あのバンドは期待を越えてくれる」ファンはそういうバンドについていきたくなるし、応援したくなる。

バンドだけでできることはそれほど多くないからこそ、周囲の人間をどれだけ巻き込めるか、どれだけ協力を得られるかというのは、ステップアップのための大きな要素の一つだが、今の ASURA にはそれがあると言えるだろう。

さて、話は少し戻るが、前回 TSUTAYA O-WEST でのワンマンライブで、彼らが我々の胸に植え付けたものは「予感」だった。

大きなステージでのパフォーマンスから想起される将来の飛躍への予感、インディペンデントだった彼らがレーベルからマテリアルをリリースするということへの期待。

そういうポジティブな感情を抱くことができた。

そしてそれは今回のワンマンライブで一つ大きく結実したと言える。今回のステージで嫌が応にも際立ったのは、個々のメンバーのスケールアップだった。

楽器隊の音質の改善はもとより、演奏隊全体のビルドアップ、ボーカルの更なる成長、ダンサーチームの動きのキレのよさと表情豊かな表現、そしてそれを前に見せる演出。

そういった個々の要素を地道にレベルアップさせたうえで、一つのステージで見事に昇華させることに成功したように思われた。

それぞれの曲が持つストーリーがよりくっきりと空間に提示されることで、その曲の持つ魅力がよりダイレクトにオーディエンスに伝わるようになった。

今回のライブでは会場の後ろの方からも積極的なリアクションがあり、彼らのオーディエンスを引きつける力がより増大していることの証左にもなっていた。

まさに充実した音、充実したパフォーマンスであったと声を大にして言いたい。

どの曲がどう、という曲個別のレビューは今回はしないが、新譜に封入された彼らの物語は確実に会場に伝わっていたと言える。

開演中、振り返ってみれば、奥の奥、PA 前に至るまで詰めかけたオーディエンス、さらには関係者からもリアクションしていることが確認でき、彼らの引力がもはやこの規模のライブハウスには収まりきらないものになりつつあることを伺わせた。

また、旧譜の曲についても、その本来の魅力を具現化されたようで、音源とライブを行ったり来たりする楽しみが増すというものだ。

まさに「ASURA の『今』を知るにはライブに行くしかない」という状態だ。

この日の 100 分に渡るステージがどれだけオーディエンスに「刺さった」かは、終演直後の彼らの顔、そして SNS でのリアクションによく現れていたように思う。

この日彼らが披露した色鮮やかな楽曲、それとともに見せた様々な表情、そして苦境をはねかえす強い精神、そしてオーディエンスの熱気。

さまざまなものが渾然一体となってあの日のホールに充満していた。

そしてまぶしい照明に照らされた輝きの中に、彼らが彼らの理想に向かって一心不乱に駆けて行くその後ろ姿を見たような気がする。

Photo:菊島明梨 ©ASURA 2018 All rights reserved.
<本稿の全ての画像はアーティストの許諾を得て掲載しています。>

-ライブレポート

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。