音楽 社会

バンドのメンバーが不法行為で逮捕されたときどうするべきか

2016/12/25


さて、クリスマス直前にアニソン記事二連投という致命的な暴挙をやってしまいましたので(笑)、今日はちょっと堅い話でも。ほらほら、クリスマスの夜に暇こいてるあなたのために書きますよ!

名前を出して申し訳ないが、直近で言うと、Her Name In Blood のドラマーと、Lynch. のベーシストが大麻所持容疑で逮捕された。大物で言うと、ASKA とか野球の清原もか。こっちは覚醒剤だけど。

音楽業界とか芸能界というのはある意味特殊な界隈なので、仮に薬物を使用したとしても、人の琴線に触れるような作品や優れたパフォーマンスを残せないよりは残せた方が、その人とそのファンにとっては良いとする面がある。それがクリエイティブであるってことだから許容する、みたいな面もある。

しかし、じゃあ企業のサラリーマンが趣向を凝らしたプレゼンをして契約を勝ち取ったりすることはクリエイティブじゃなくて、芸能音楽業界とは違うんだと言えるかというと、それもまた違うように思う。サラリーマンだってクリエイティブでないと言い切れる論拠がない。

確かに、かつては何度も大麻所持で逮捕されるアーティストがいたし、いつのまにやらシレッと復帰してギター弾いてたりする、みたいなことがあった。ニュースで報道されると、お前何回目だよ、みたいな芸能人やミュージシャンもいた。

ただ、20 世紀と 21 世紀で決定的に異なるのは、少しでも報道されたものは永遠に記録として残る、ということだ。言うまでもなくインターネットと SNS を介して。時代が移り変わり、もはやこの手の事態をなあなあで済ませることができない環境になったのだと言わねばなるまい。

レコード会社やマネジメントの立場からすれば、所属アーティストにそんなことしでかすやつがいたら、なんてことしてくれたんだ、契約解除の上、違約金を請求するとか、見込まれた売り上げの金銭的補償を求める、みたいなことになってもおかしくないし、担当者にしてみれば情けないやら悲しいやらで、それこそ裏切られたという気持ちになるだろう。だから、HNIB にしても、lynch. にしても、本人が脱退して活動自粛、という形にしているのは、それなりに情のある処置ではないかと思う。

それよりなにより、心中察するに余りあるのは、バンドの残りのメンバーだろう。自分も長年バンドをやっていた立場だから言うのだが、「メンバー」というのは、家族や恋人とはまた違う次元で最も大切な存在だ。彼女はまた新しい人を見つければいいかもしれないけど、メンバーはそれぞれ個性があって、その人にしかできないプレイ、作詞作曲能力、表には出ない内部での役割などがある。

自分でも時々「クスリとかやらないでね。やったら即クビだから」などと冗談で言ってたこともあったけど、そもそも自分のところにはそういう人が加入しなかったから冗談にできたのであって、それはある種の幸運だったのかもしれない。周囲の知ってる人が突然いなくなって、後から「ああ、あの人はね...」と聞かされることがなかったわけではないからだ。そういうリプレイスの利かないバンドのメンバーが、自分たちが予想だにしない不法行為で逮捕され、本人も容疑を認めている、と分かった時の衝撃はいかばかりだろうか。ショックとか落胆という言葉では言い表せないほどの辛い状況だろう。

違法行為で逮捕されたメンバーがいるバンド、というものについて、残されたメンバーや関係者がそのバンドをどうするか、ということについて、正解はないと思う。それこそメンバーのうち二人も三人も夜な夜なラリッてましたとか言うんでなければ。

メンバーが代替できない存在であるなら、脱退させたりクビにしたりせずに法の処罰を受け、その後再出発すべきだ、という意見もあるだろうし、脱退またはクビが当然で、当面サポートを入れつつ、次のメンバーを探せばいいじゃん、という意見もわかる。ただし形はどうあれ、「クスリで捕まったメンバーがいる (あるいはいた) バンド」という汚名は長く残る。

他のメンバーや事務所の監督がなってない、というのは当たらないと思う。未成年のアイドルならいざしらず、インディーズのビッグネームにしろ、メジャーのアーティストにしろ、たいてい 18 歳以上だろうし、そこは信頼関係というか、人としての常識として、寮生活でもさせていなければ、そもそもそんなプライベートな所まで監督できるはずがない。

じゃあ仮に、社会復帰するのを待つとして、そのメンバーが収監あるいは執行猶予を付されてから一年も二年も身動きできないままで、残りのメンバーがその才能を腐らせて行っていいのかと言うと、それもまた過度な処置ではないかという気がする。商業活動をするバンドというものが、全体では責任を負うものだとしても、そんなプライベートなことにまでは責任を負う必要はないのではないかと思う。

特にミュージシャンは、単純にプレイという意味では、たいてい代替が効いてしまうものだ。プレイだけを考えるのであれば、それこそサポートミュージシャンを雇い入れた方が、バンド全体の演奏クオリティ、あるいはライブでの音源の再現度がむしろ上がってしまう、ということがありうる。

自分がいられる場所があるかどうか、それを常に迫られているから、そしてそれが前提で、その上にさらに他人が及ばない作曲やパフォーマンスの能力を求められるから、ミュージシャンはクリエイターだと言われるのだ。残念ながら、曲は作れないし、プレイは並みだし、おまけにクスリで捕まった、となれば、その人の居場所がなくなるのは至極当然の話だ。

まあ今回の HNIB と lynch. のメンバーがそのバンド内で、楽器パート以外にどういう役割を果たしていたのかは知らないのだが、残されたメンバーの今後のタフさを期待したい。

逆に、こういう今時大麻で捕まるなんていうのがいて、それが大々的に報道されてしまうから、他の真っ当に音楽やってる人たちまで、バンドやってんの?じゃあ大麻とかもやってんの?などというイメージで語られてしまうのだ。

音楽が産業として確立していくにしたがって、音楽界隈は過去の一時期のような、ヨタ者でも誰でもたむろしていられるような存在ではなくなって、しっかりとした社会の一部になったんだと思う。だからそこにはちゃんと社会のルールが適用されるし、それに従えない者は排除される。ロックの原点が反骨や反体制なのだとしたら、長い時間をかけて社会の中に居場所を得たということは、ある意味で願っていたことなのではないかと思う。尾崎豊の夢は叶ったんだよ。

などとまあ色々書いたけど、そもそもクスリとか大麻なんてやらないに越したことはない、っていう話だよな。特にライブハウスの対バンブッキングレベルでぷらぷらしてるような奴がハッパだハーブだとかいうのは、もう話になんないよね。そのレベルでこれをやると曲が書けるとか言われても、じゃあシラフだと何にもできないんですか、仮に今より厳しい状況にステップアップしたらどうすんですかと言いたいよ。そういうのはせめて音楽だけで飯食えるようになってから、できれば大物ミュージシャンになってからやってくれと言いたい。まあ最終的にはやんないでくれって話なんだけど。

音楽をやってる人は、「多くの人に自分の音楽を聴いてほしい」とか「より多くの人と空間を共有したい」と言うんだけど、それは商業活動の拡大と同義なんだよね。自分たちの音楽活動の拡大を望むのであれば、それは法律の上での商業活動であるわけだし、それが理解できない人は、そういうことを言っちゃいけないんだよ。期待させて裏切るのなんて最低だからさ。

大麻の日常使用を解禁すべきだという人は、音楽よりむしろ政治活動をした方がいい。少なくとも今の日本では。自らの政治的アピールによって、世論と役所と政治家を動かして、大麻解禁を目指すべきだ。あるいは国外の大麻解禁済みの国や地域に移転してそこで音楽をやるんであれば誰も文句は言わない。好きなだけやってくれ。

要は大麻だから云々、覚醒剤だから云々と言ってるわけではなくて、大麻と覚醒剤は今の日本では違法だから、という話なわけだ。法治国家で違法行為をやっていて、自分もメンバーも幸せになれるわけがない。いずれ露見するし、何事も起きないうちに止められたのであれば、単にたまたま幸運だったというだけの話だ。

というわけで、大麻も覚醒剤も、ダメ、ゼッタイなわけよ。頼むよほんとに。

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