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物語を失ってはいけない 1


ネットで言われている話で、「学校の歴史の年表で、いくつもの国が出来ては滅び、できては滅びしていく中、ひとつだけ年表の端から端までつながっている日本とかいう国がある。なんなのこの国。あ、自分の国だったわ(ドヤァ」みたいなのがある(笑)。

まあドヤるかどうかはさておき、日本の建国は、今の暦で言うところの 紀元前 660 年 2 月 11 日ということになっている。根拠は古事記と日本書紀。余談だけど、古事記は結構今読んでも面白いんだよね。時々下ネタ出てくるし(笑)。週刊誌的なところがある。

今年で「公称」建国 2677 年目なのよ。知ってた!?日本より古くから続いている国は世界にないわけで、ということは、世界中で日本人が一番過去のことを知っていないといけないはずだ、という理屈が立つ。それはそうなんだが、どうも現代の我々は、過去は劣った時代であるとして、切り捨ててしまいがちだ。だがそんなことはない。もちろん昔が全て良かったというのも誤りだが、長い時間を経て現代に伝わる古い物語には、現代にも活かすべき普遍的な美点が含まれている。

昔話、物語、神話、言い伝え、伝承、そういった時をつなぐストーリーから自らを切り離して、我々はいったいどこへさまよい出ようというのだろうか。過去は過去においては現在であり、現在の我々もやがて過去の存在になる。つまり我々自身が既に歴史上の人物、歴史上の存在なのだ。未来が現在になった時、今の現在である過去が、その前の過去と切り離されていては、未来が判断を誤るかもしれない。現在の我々は未来に対して責任がある。そういう意味で、昔話を二つ紹介する。

「民のかまど」の話

古事記と日本書紀に載ってる「仁徳天皇」の話。あー知ってる、壇ノ浦で平氏と一緒に入水して亡くなった...それは安徳天皇。あ、あれだ、大化の改新で即位した...それは孝徳天皇。じゃあ、あの祟り神として有名な日本最強の怨霊の...それは崇徳天皇 (崇徳上皇)。違うよ、大阪の堺にでっかいお墓 (仁徳天皇陵) が残ってる天皇だよ。在位は、一説によると、西暦 313 年から 399 年の 87 年間。長い!ホンマかいな。このころはまだ元号を使っていないので、元号的に呼ぶ場合は、便宜的に 313 年を「仁徳天皇元年」と呼ぶ。

民のかまど (は賑わいにけり) の話は、「民のかまど」「仁徳天皇 民のかまど」あたりで検索してもらうと色々出てくるのだが、ざっくりまとめるとこんな感じだ。

ある日、仁徳天皇が難波高津宮 (なにわたかつのみや:当時の皇居、今の大阪市中央区) から街並みを見ていると、そろそろ食事時だと言うのに、民家から炊煙が上がっていないことに気づいた。

仁徳天皇は気づいた。民は飢えている。食べるものがないのだ。だから食事時にもかかわらず、どの家のかまどからも煙が上がらないのだ、と。

当時既に一般民衆のことを「おおみたから (大御宝)」と言って、民あっての国である、という考えがあった。

そこで、仁徳天皇は、三年間税の徴収を停止した。

三年経って、仁徳天皇は視察に出た。近くの山に上り、夕食時に人々の家から炊事の煙が上がっているのを見た。仁徳天皇は民に食べるものがあることを喜んだ。一方で、天王の御所は、三年間補修をしなかったので、雨漏りがしたり、壁は崩れて通りから中がのぞけるような有様であった。

しかし、ここで税を元に戻しては、再び民は飢えてしまうだろうと仁徳天皇は考えた。そこで、もう三年税を取らないことにした。

最初の決断から六年が経った。毎夕、どの民家からも炊煙が上がっているのを見て、仁徳天皇はこれで民は本当に豊かになったのだと満足した。しかし六年も徴税を停止していたので、天皇や御所に暮らす人々は、擦り切れた服を着ていた。雨漏りは至る所で起こり、御所の外壁は崩れ、子供が出入りして遊んでいるような状態であった。

そこに民が集団で訴えに来た。おかみがそのような貧しい状態であるのは、見るに堪えない。今の我々には十分に食べるものがある。どうか税金を取るようにと口々に言った。「税金受け取ってくれデモ」が起こった。

ことここに至ってようやく仁徳天皇は徴税を再開したという。

ええ話やのう。この話が含む意味は色々ある。興味がある人は、古事記関連、日本書紀関連、あるいは仁徳天皇関連の書籍やネット情報が沢山あるので、調べてみるとよいでしょう。

で、この話、おれはここ数年まで全然知らなかったのよ。古事記に載ってる話なのに。古事記って 712 年、8 世紀の初頭に出来た書籍だよ。1300 年前の本に書いてある話を今の自分が知らないってどういうことだよ。絵本とか昔話集に載ってても良さそうな話だと思うんだけどね。

というわけで、調子に乗って明日に続く。

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