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投票の電子化を求める話


都議選が告示されて、そういえばと選挙の投票のアナクロぶりを思い出した。最近鉛筆を使うのって選挙の投票時くらいしか思いつかない。

現行の選挙の投票がどうなっているかと言うと、

■住民票がある選挙区で投票する。(現住所と同一とは限らない)
■住民票の住所をもとに、指定された投票所でのみ投票可能

ということになっている。

つまり、当該選挙 (今回は都知事選) において、一人の有権者が投票できる場所は地球上に一か所しかないんだな。ここが腑に落ちない。

もう何十年も選挙の投票率の低さ、上がらなさが言われているのに、この「不便さゆえ」という点はなかなか議論の俎上に乗らせてもらえない。

だいたい投票所というのは、住民票記載の住所の近くの公立学校か公民館のような場所に設置される。23 区内であれば、たいてい徒歩圏内か自転車でちょっと行ったくらいだろう。地方だとどうなのかな。

ただ、現役労働者世代で、実家を離れている人なんかは、生活圏が最寄り駅と自宅の間、それとスーパーなどがある場所に限られていたりする。対して、先述の公立学校や公民館は住宅街の真ん中にあって、最寄り駅とは正反対の方向にあったりする。そうなるともう投票に行くのがすごくめんどくさい。

それくらいなんとかしろと言う意見もわかるんだけど、反論として、それすらに対しても何にも対処できていないのが旧態依然とした選挙制度だとも言える。

毎日仕事で疲れているのに、さらに土日出勤もあるっていうのに、選挙のためにわざわざ駅と逆方向に朝いつもより早く出なきゃいけない。期日前投票もあるけれど、それは区市役所でしか受け付けておらず、「たかが一票」を投じるために、わざわざいつもと違う路線に乗って交通費をかけて平日の夜にいかないといけない。毎日が日曜日のリタイア組とは状況が違うのだよ。そして政治はその労力に見合うだけの成果を国民に実感させているだろうか。実績の上でも、広報の意味でも。

で、世間の一般的な論調として、選挙の投票率がなぜ上がらないか、という話が常に流れている。これを解決する手段として、投票の電子化を提案したい。まあ今さら提案というほど目新しいものでもないけれど。

現行法とマイナンバーでの投票との併用

なにも現在の紙と鉛筆の投票を止めてしまえと言うのではない。現行の方法と並行して、選管が指定した場所でない場所での投票も可能になるのではないかという話だ。

有力な候補として考えられるのは、コンビニだ。コンビニにはネットに接続された IC チップを読み取れる端末が設置してある。現在ほとんど活用されていないマイナンバーカードに搭載されている IC チップをここで活用しない手はない。システムさえ構築しておけば、勤務先の近くのコンビニで済んでいる地域の選挙に投票が可能になるだろう。

投票締め切り後は、開票作業と並行して、誰が投票したかどうか、重複がないかを選管が突き合わせる作業をすればよい。重複投票を防ぐためには、重複した場合は、重複した投票全部が無効になるなどの措置が必要になる。

電子化による記名投票化

現在自治体の選管による投票所での本人確認は杜撰だ。投票のための葉書を持って行った人に対して「○○さんですか?」と聞くだけだ。こんなもので本人確認したことになるのかどうか、個人的にはかなり疑っている。

マイナンバーで投票するということは、自然と記名投票したことになる。現在の投票制度では、過去に選挙で誰に投票したか、どの政党に投票したか、それが有効票になったかどうかを遡って調べることができない。電子化することで、その投票はマイナンバーと紐づく。その結果、自分が投票したものが有効票かどうか、過去に誰またはどこに投票したかを見返すことができる。

パッシブ投票からアクティブ化へ?

あとは、アメリカのように選挙民登録をした人だけが投票可能という風にしても良いかもしれない。日本の選挙制度は非常に親切で、投票の意思があるかどうかにかかわらず、投票権が与えられ、実際投票の案内の葉書が住民票の住所宛に送られてくる。日本はパッシブ、アメリカはアクティブ方式というわけだ。「おれは政治には関心がないし、投票に行くつもりもない」という人を投票率にカウントしなければ、それだけで自動的に投票率が上がることになる。投票率だけを焦点にするのであれば、この方法もありうる。

セキュリティの確保

投票の電子化にあたって、最大の課題は、セキュリティの確保、つまり投票記録や数字の改竄、投票システムに対するハッキングや攻撃などからいかに情報を守るかということだ。

現実問題として、現在でも投票依頼は平然と行われているし、買収だってゼロになったわけじゃない。そもそも業界団体が「票を持っている」ということは、職場の理屈が私生活である投票行動にも影響を与えているということで、有権者の主体性の無さも批判されてしかるべきだ。

ただ、セキュリティに関しては、それとはまたもう一段話が異なる。意思を持って投票したものが、後から不正に書き換えられてしまえば、それは本人の意図と別の結果になるか、投票しなかったことになる。残念ながら IT のセキュリティに 99.9999% はあっても 100% はない。ただそれは現行でも言えることで、投票所のボランティアスタッフに利害関係者が紛れ込んでいないか、不正行為を働こうと悪意を持って潜入しているものがいないか、という意味ではどちらも似たようなものだ。

むしろ、記名投票にした方が、後からの追跡ができるので、不正防止という点では有効だと思う。思想の自由という観点で言うならば、後から情報をトレースできるのは本人と国会議員が国政調査権を発動した場合、程度に限定しておけば、選挙の投票がそうそう漏れるということもないのではないか (もちろん絶対はない)。

あとは投票についての情報を買い上げて貧困ビジネスと政治的意図の両方に利用するやつも出てくるだろうし、そのへんは都度対策が必要になるだろう。虹彩や指紋などによる生体認証が有効かもしれない。

というわけで、別にスマホで投票できるようにしろとは言わんけど、もうちっとなんとかならんかね、という話なわけよ。世の中テレビと新聞だけで生きてるジジババばかりでできてるわけじゃないんでね。

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