社会 経済 政治

離れて行ったのはどっち?


「若者の車離れ」とか「若者のテレビ離れ」と巷間言う人がいるわけよ。全く的外れだなあという話。

むしろ「合理的」「ちゃんと考えてる」と言って欲しい

そもそも不景気を 20 年くらいやってるわけですよ。就職氷河期なんてものがあったりして、ここ 20 年だか 25 年だかの若者は、たとえ大学出たとしても、職にすら就けるかどうかっていう状況だったわけだ。

翻って「若者の〇〇離れ」と言ってる人は、高度経済成長期だったりバブルだったりして、景気が良かったし、就職先にもそれほど困らなかった。状況が全く違う。

景気が良いということはどういうことかと言うと、将来的に収入が伸びるということでもあるんだけど、それはすなわち、インフレ期なので、現金をそのまま持っていると、将来的には価値が目減りしていくということなんだな。だから、消費した方が得だった。

100 万円のものを 36 回払いで買うとして、まあだいたい月に 3-4 万円の支払いだったとする。月収 20 万円の人が月に 3 万払って行くのは最初は大変かもしれないけど、物価が上がるしそれに伴って給料も上がるんだから、払い終わるころには月収 25 万円くらになってたりする。つまり、分割払いの金額は変わらず、負担感は時間の経過 (= 所得の増大) とともに減っていくということ。そりゃ大きな買い物もできるわな。雇用も安定してたしな。

一方、デフレ期には、物価が下がっていくので、現金は持っていると時間の経過とともに価値が上がっていく。ということは、デフレ期には現金は使わずに蓄えておいた方が、経済合理性に適う。そういう意味では、若者はちゃんと経済合理性に従って動いている。

まあその前に食うや食わずの状態の人間が生活必需品以外の消費を控えるのは当然で、車だ家だ海外旅行だっていうのはそもそも視界にも入らない。

あとは社会の仕組みが変わったよね。テレビと新聞が大手を振って歩いていた時期は、情報はおおむねこの二つから入って来た。あとは雑誌とかかな。それがネットが普及して、テレビなんかなくても、新聞なんか読まなくても、それ以上の情報を手に入れられるようになった。新聞は取ってないけど、ニュースサイトはよく見てるなんて言う人沢山いるでしょう?

テレビでニュース番組の時間を待つより、翌日の新聞が来るのを待つより、スマホでニュースサイト見たら、さっき起きたことがもう載っている。しかも複数のメディアの記事を読むことができるので、比較することもできる。むしろ若者はちゃんと情報を整理している。

車なんかもそうだけど、特に 23 区内では、普通の会社員で、バンドなんかやってなければ(笑)、ほとんど車は必要ない。たまに飲み過ぎちゃって終電逃したらタクシー使えばいいし、タクシーが高ければネカフェやカプセルホテルもある。たまに車で遠出したければレンタカーやカーシェアリングを使えば良い。はっきり言って車なんか必要ない。持ってるおれが言うんだから間違いない(笑)。あればあったで便利だけどね。

離れて行ったのはどっちか

「若者のなんとか離れ」を考えて行くと、どう考えても、離れて行ったのは金の方、という結論に至る。景気が悪いから就職もおぼつかず、収入も伸びる見込みが薄い。せめてスマホだけでも手に入れて、必要なことを満たそうとする。そんななかで若者は生きていくためにちゃんと考えて金を使っている。その結果として、消費を控える。むしろ景気頼みで身の丈に合わないローンを組んで大量消費をしていた方が無謀だったのではないかという反論すらできる。

別に消費が悪いわけではない。消費しないのが悪いわけでもない。状況の違いを考慮せずに、自分たちが慣れ親しんだものを下の世代が買わないからと言って、レッテルを貼って皮肉ろうというのは、不公平だし配慮に欠ける。率直に言うと、想像力が足りない。

「若者の〇〇離れ」という人に限って好景気時代の恩恵を受けまくった人だし、そういう人はこの 20 年の不景気について傍観しているだけで何もしてこなかった人であることが多い。

「若者から金を引きはがしたのは誰か!?」と逆に問いたい。若者の上の世代が政治と経済に無関心で歴代政府の失政を批判・改善できなかったから、今こんな状況になっているのだ。「失われた 20 年」などと名前つけて喜んでる場合じゃない。恥を知れ。

ついでに言うと、デフレ期には現金を持っている人が得をする。物価が下がっていくので、今年の 100 万円より来年 100 万円の方が買えるモノが増える。そういう時期には既にひと財産築いてしまった高齢者世代の方が得をする。さらに「デフレでもいいじゃないか、その方がおれは得だし」というインセンティブが働く。そういう安全圏から所得が伸びない、職も安定しない現役世代の消費性向を批判するのは、まったく的外れとしか言いようがない。

さらにタチの悪いことに、そういう高齢者世代の方が選挙の投票率が高い。自然と政治家は高齢者の顔色を窺って政策を訴えるようになり、社会福祉のために増税しろとか年金が破たんするかもしれないから保険料を上げろということになる。経済政策の無策・失策を放置してきたのはむしろ高齢者世代の方なのに、そのツケを若者世代はリアルタイムで生活を脅かされながら払わされている。なんという不公平か。

国民年金制度が始まった 1961 年、最初の保険料は 100 円だったんだよ。その時に大卒初任給は 16115 円。今は保険料は 16490 円で大卒初任給は 203537 円。所得に占める割合は、0.6% と 8.1% 。負担感は 13 倍になっている。それを無視して「最近の若者は年金を払いたがらない」という。払えるか、こんなもの。ほかに所得税や住民税なんかで収入の二割以上が取られている。なんだか腹立って来たぞ(笑)。

出典
WEB 金融新聞 http://www.777money.com/torivia/daisotu_syoninkyu.htm
日本年金機構 http://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/hokenryo-hensen/20150331.html
国税庁 https://www.nta.go.jp/nagoya/shiraberu/gakushu/kyozai02/pdf/08.pdf

というわけで、「最近の若者は」と言ってる暇があったら、上の世代の人は、政治家に「早く景気を良くしなさいよ。消費税上げてる場合じゃないよ」とアプローチしてほしい。若者は、「あなた方とは状況が違うから、その批判は当たりません」とかわす術を身に着けると同時に、選挙に行って景気を良くする政治家を当選させるようにしてほしい。

みんな知ってるかどうかわからんけど、景気が良くなると、税金の負担感って減るんだよね。だって税率そのままで収入増えたら負担割合は減るでしょ?だから「税金払いたくねえ~」と言う人ほど選挙に行って「正しい候補者」に投票するべき。

逆に「金が足りないなら増税すれば良い」などと言ってる無能政治家は、みんなで見抜いてぜひとも落選させねばなるまい。

世の中色々問題あるけど、安全保障も憲法も大事だけど、まず景気なわけよ。食えなきゃ話にならんわけで。

-社会, 経済, 政治

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。