音楽

海外からのヨタ話に注意


19 世紀から 20 世紀、20 世紀から 21 世紀と時が移るにつれ、音楽における国境の壁というのは確実に薄く低くなっている。

それはリスナー、オーディエンスにとってはもちろんのこと、演者側にとっても言えることだ。海外のアーティストが来日公演をより頻繁にやるようになったり、また逆に日本人アーティストが海外へ飛び出して行ったりすることが、以前よりずっと珍しくなくなった。

それはインディーズ界隈においても同じことで、日本国内でも海外のバンドとの対バンのライブがあったり、海外のバンドとのスプリット音源が出たり、アジア諸国でのライブツアーをやるバンドがいたり、海外のレーベルからリリースして逆輸入されるなんてことが、本当に当り前のことになった。

その一方で、海外にはアヤシイ連中と言うのが日本よりはるかに多くいる。自称プロモーター、自称プロデューサー、他にも自称なんとかが山ほどいる。しかもたいがいの場合、彼らにはこちらの常識が通じない。まあ違う文化の人だから当たり前なのかもだけど。そうしてトラブルになりやすい。

というわけで、おれが実際に遭遇した海外の妙な連中の事例をふんわりと紹介する。信じるか信じないかはあなた次第...。

海外でのプロモーションの売り込み

海外の自称プロモーターから「あなたのバンドを私の国で紹介します!」っていうメールが来る。「うほっ!いい話!」「いやーおれらも有名になったな」と思うじゃん?(笑)

そのメールの続きには、たいてい「プロモーション費用として〇〇ドルもらうよ」と書いてある。しかも絶妙に高すぎない値段なんだよね。300 ドルとかでさ。日本円で 3 万円かそこらならいいかと思うじゃん。

でもちょっと待ていって話なわけよ。あ、海外でコンピレーションに音源入れませんか?とかの話も同じね。

どこの国でもいいけど、例えばタイだとしようか。タイでプロモーションします的な話に金出したとする。ところで、自分のバンド、タイでセールスする気あったっけ?っていう。

自分のバンドが音源リリースするにあたって、「海外進出も視野に」とは言うけどさ、それってたいがい欧米じゃない?タイって視野に入ってた?タイを狙いうちにする作戦って考えたことあった?というところを、落ち着いてもう一度考えてみよう。

おれんとこにも色々来たよ。タイも来たし、インドネシア、マレーシアのアジアから、ブラジル、ブルガリアなどなど。

こういうのを考える時、「その国で音源売る気ある?」っていうところからまず考えよう。音源売る気ないならプロモーションしても無意味じゃない?

海外戦略を既に動かしていて、そこに追加で入れるならまだいいけど、国内しか見てない場合、突発的に海外でしかも単発でプロモーションしたところでほとんどムダ金にしかならない。

しかもプロモーションは効果が非常に見えづらい。金払って何の効果も上がらなくても、向こうが「やりました」って言えばそれまでなわけで。

というわけで海外からの売込には十分注意されたい。ヨーロッパなんかで国境が地続きならまた話は変わってくるんだけどさ。

日本は島国だし、欧州からもアメリカからもそこそこ遠い。アジアは市場が小さい。どこで何を売るかという戦略はある程度ざっくりでいいから、「まず国内」とか「欧州での契約を目指す」とかそういう線引きをしておいた方がいい。

海外バンドの帯同

これはおれの Facebook にも書いたんだけど、海外バンド、海外アーティストの小規模なジャパンツアーのサポートバンドとかアテンド (付き添い) の話も、ちょこちょこある話だ。

おれのとこにこないだ来たのは、ライブ 20 ヶ所基本ノーギャラ (日によって払えれば払う) でベース弾けっていう話だったから、「アホか」と言って断ったんだけどさ。まあナメてるよな~(笑)。

そんなの絶対交通費すら出ない可能性が高いよな。ツアー日程 (予定) に広島とか青森とか入ってたんだけど、東京から青森まで自腹で行ってノーギャラで演奏するほど気安くねえよっていう。込々 100 万円前払いだったら、まあボランティアに近いけどやってもいいかなってくらいだよ。

あとは、だいぶ前に来た話で、とある南米のバンドからメールで「ジャパンツアーやりたいからブッキングと移動と宿の手配できないかな?できればギャラも出るとうれしい」というやつ。これはもう笑ったよね。

だってそのバンド、まだアルバム 1 枚も出してなかったのよ。なんでも向こうで雑誌か何かの賞を取ったらしくて、それで「このバンドはイケる」と思ったのか、単に舞い上がっただけなのか知らないけど、日本の別に呼び屋やってるわけでもないおれのとこまで連絡よこしてきた。

まあ、もうちょっと有名になってからお越しくださいでお断りしたけどね。だってそんなツアー、赤字になるに決まってるじゃんね(笑)。

本人たちは海外ツアーだぜ!つって母国で箔がついたり、単に日本観光旅行で楽しいかもしれんけど、そこになぜ見ず知らずのおれがつきあってさらに金まで出さねばならんのか、という。

「飛行機代は自分らで出すよ」とか言ってたけど、そういう問題じゃないから!

とにかく海外には注意

というわけで、日本にいるだけでも結構危ういのに、海外に行くにはさらに注意が必要。よしんばまともな帯同者がいたとしてもね。

日本と海外では商習慣も違うし、法体系も違うことがある。契約書をよく読んでいなかったせいで思わぬ金銭トラブルに巻き込まれたり、法律を知らなかったせいで警察沙汰になることもある。駐禁切られたりとかも含めて。

だいたい観光ビザで入国してるのに、入場料取ってライブやったら違法じゃない?っていうのは日本でも言えること。

と言って、別に海外に行くなと言ってるわけじゃないんだけどね。行くんなら、それなりの作戦・戦略と、十分すぎるほどの用心が必要ってこと。

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