言語一般 英語 音楽 日本語 言語

英詞歌唱のコツ的な


J-POP とか J-ROCK とか洋楽/邦楽 (雅楽を純邦楽という場合) と言われるくらいで、英詞曲の欧州の非英語国での受け取り方と日本でのそれとは「すんなり入ってくる」度合がかなり異なる。

別言語とは言ってもまたいとこくらいのものと、地球 1/3 くらいの遠くの言葉、くらいに違う。

欧州諸言語と違って、日本語と英語には共通点というものはあんまりない。よくこんなものをほいほい使っているなというくらいに別物だ。

そう、日本語と英語は全く別の言語なのだ。

その上でそれを使って一芸をやろうっていうなら、そしてそれで世界に訴えようっていうなら、それなりに言葉の部分でもツッコんでエネルギーを使って習得する必要がある。

1. イントネーション (日) のアクセント (英) 違い

日本語は発音に音の高低がついている。英語は音の強弱 (というか実際には長短なんだがそれはおいとくして) で言葉をつむぐ。

「はし」を「は↑し↓」と言うと箸になるが、「は→し→」と言うと、橋になる。英語では橋は bridge だが、brid↑ -ge↓ と言って別の単語に替わるということはない。代わりに i にアクセントを置いて発音する。

日本語でも橋を「はああああし!」と言うと、橋が箸に替わるなんていうことは、同様にない。

だから、歌メロの中に言葉を入れると、日本語の音の高低が吸収されてしまい、かなり棒歌いでも日本語ではそこそこ歌ったことになる。一方、英語のアクセントは音楽の中に入れてもメロディと同化することが少ないので、単語と文章のアクセントを意識して歌わないと、英語としては何を言ってるんだかわからなくなる。

2. 子音の収まり

「ない」を伸ばして歌うとする。「なーーーーーーーい」になる。伸ばしている「------」は「あ」の音で伸びる。じゃあ「い」の音はどこに来るかと言えば、「あ」の音を出した口が閉じる途中で「い」の形を経由するので、そこに吸収されてしまう。

なんていうことを、普通の人は母語に対してはあんまり考えない。ゆえに外国語をパーツにバラして考えると、「あれ?これどうなってんの?」ということが多々出てくるが、それは外国語として学んでいるものの発想だ。それを母国語話者として使っている人に聞いても、「それはそういうもんなんだよ」とか「考えたことない」と言われる。そして「こいつらネイティブのクセに使えねえな」と内心思う(笑)。ま、それはいいとして。

同じようなメロディで st で終わるとする。first だったり best だったり。first の場合、音を伸ばすと fir-st になる。fir で伸びて、st で着地する。st は片仮名で書くと「スト」だけれど、ストではない。音は st なのだ。母音のつかない st。語尾の子音をきちんと歌の中に置けるかどうかで、かなり印象が変わる。

3. 子音とアクセント

さっきの first で言うと、1 音節なので、音符 1 個に収められる。これを日本語で「いちばん」と歌うときは、音符 3 つくらい必要になる。

It's my first ~と歌うとき、It's my を前の小節の終わりにおいてアウフタクト (弱起) にして、fir をサビの 1 拍目にするというのはよく使われる。日本語では it's my に当たる部分はいらなかったりするので、「いちばん」の「い」を一拍目に持ってくることに問題はない。

「英語の方が譜割の自由度が高い」という意見があるのだが、個人的には「ある条件下で比較した場合」そうかもしれないけど、入らなければ歌詞自体を変えればいいわけで。作詞の段階でいくらでも日本語でも融通は利くので、あながちそうでもないと思っている。省略できる部分できない部分がそれぞれの言葉で違うしね。

4. 母音の違い

日本語と英語で一番違いが出やすいのが、母音の加減ではないかと思う。日本語では「あいうえお」の 5 つとされているが、現代の英語の母音は 12 ある (数え方によってはもっと増える)。

a 一つにしても、カタカナでアと読んで符合する場合というのは、実はあまりない。ae だったり ei だったりアの口でオを出した時の音だったりする。

日本語に比べると現在の英語は文字と発音のリンクが薄くかつ複雑だ。発音しない文字や同じ綴りでも違う読み方が沢山ある。これはもう都度覚えるしかない。日本語でも五月雨を「さみだれ」と読むことになっているのでそう覚えるより他にないのと同じで。

5. 口を大きく動かす

特にアメリカ人なんかそうだけど、口をとにかく大きく動かして話す。日本語が唇だけの動きでほとんど話せるのとはだいぶ違う。音の高低で話すのと、強弱で話すのの違いがおそらくここにある。向こうの人の言葉を話すなら、向こうの人がやっているようにやるのが早道だと思いませんかね。

それに日本人からすればあいまいだと思える日本語より多い英語の母音の発音は、口を大きく動かすと区別がつけやすい。

あとは口を大きく動かす、顔全体を動かすつもりでやってもいいくらいなんだけど、歌を歌う人は、それによってノドを閉めないように注意が必要。

ということで

一応文字使いが考える英詞歌唱のコツ的なものをざっくりと出してみたわけだけど、最終的には英語は英語として使うのが良いと思うわけよ。your を頭の中でユアと読んでいたら、それはやっぱり your ではなくてユアなわけよ。

ビジネス英語くらいだったら、イッツ・ユア・フォルトー!(あなたのせいだ) くらいでいいかもしれないけど、やっぱ「表現」というからには It's your fault! と言えた方がいいんじゃね?と個人的には思う。

カタカナ英語で何が悪い!と思う人は、海外のアーティストが日本語の曲をカバーして、その歌詞の発音が微妙に、実に絶妙に面白くズレてても絶対笑っちゃダメなんだぜ。

発音には、絶対に押さえないといけないポイントと外してもいいポイントがある。それを考えなくてもわかるのがネイティブで、考えたり調べないといけないのが外国語話者。そのネイティブレベルにいかに近づけるかっていうのをやろうっていうわけだから、そりゃ 1 年や 2 年で身につかない。けれど他にやってる人が実はそれほど多くないし、やってない人には絶対にたどり着けないところなので、身につけてしまえばアドバンテージになる。

-言語一般, 英語, 音楽, 日本語, 言語