好きなものは好き、だけでいい
軽く反響があった話。
メタルが好きなのはいいけど、メタル以外はクソみたいなことを言う人には賛同できない。
— JUN@ベーシスト兼ライター (@JUN_On_Bass) 2019年4月5日
まあメタルに限らず、ジャズにもクラシックにもいるけどね、こういう人。
ある一つのジャンル対その他全ジャンルで考えれば、その他のジャンルが好きな人がどう考えても多いんだよね。
それに世の中には音楽を大して聴かない人もいる。そういう人はどうなの?とか、まあ色々ある。
一つ言っておきたいのは、「好きなものを好きと言うために、他のものを攻撃する必要はない」ということなんだな。
誰でも最初は初心者だし、ニワカだし、半可通なわけよ。
これから入って来ようという人に向かって「これを知らないヤツはダメだ」みたいなこと言う人がいたら、そんな閉鎖的なところ誰も入りたいと思わないよな。
好きなものを好きに楽しんで、その結果そのジャンルに詳しくなっていくのがいいわけだよ。
いいからこれを聴けとか、そんなものを聴いているようじゃダメだななんて言われたら、それだけでもうそこは通りたくなくなるものだよ。
いやいや、そういういいから好きなものを好きに楽しませなさいよ。
で、音楽の比較的新しいジャンルにおける、こういう風潮を具現化する人ってさ、すげー皮肉な存在だとおれは思ってるのよね。
例えばロックやパンクが生まれたのって、一言で言うと、既存のものに対する反発だったわけじゃん。
それを聴いて育って、それが好きでいて、それを賛美してその良さを声高に排他的に喧伝した。
結果として、そのジャンルにおける「体制側」になっちゃってるんだよね。保守派と言った方がいいかな。原理主義的とも言えるかもしれないけど。
要するに、自分が反発される側になっちゃってるわけよ。
反発スパイラルから抜け出そう
あるものに反発する人がいて、その手の人たちが集まって新しい流れを作る。ここまではいい。
その新しい流れもそのうち「既存のもの」になる。そしてそれに反発する人がまた新たに出てくる。
文化ってある意味でそうして出来て広がっていくものなんだけど、これってやり方を間違えるとそのうちどん詰まりになるように思うんだよね。
存在理由が「反発」しかない場合、常に他者との比較において自分を定義しているわけで、じゃあその他者がいなくなったら、キミは誰なの?
アンチで自分を作っていくと、自分の周りにどんどん壁を置いていってるようなものだと思う。
反発のもう一歩手前に本当の理由がある。
既存のものを自分は良いと思わなかった。これが反発なんだけど、それを裏返してみる。
それはつまり、こういうものがあったら良いのにと思った、あるいは、新しく出てきた別のものを良いと思った。こういう感覚の動きがあるわけよ。
あるものを良くないと思うことと、また別のものを良いと思うこと。
この二つには、自分の感覚においてどう思うかというフィルタリングをしたという共通点がある。
反発っていうのは、この「良くないと思う」感情が強く出てきたっていうことなんだけど、それは頻繁に「おれはこっちが好き」とつながる。
だから、反発って何かを好きでいるための理由付けの一つでしかないんじゃないかしらと思う。
でも何かに反対するために別の何かを好きでいるって不健全だよな。
だから、「好きなものはただ好き」でいいじゃん?っていう話。
「これ以外はクソ」って言う人って、きっと理想主義者か臆病なのかのどっちかだと思うんだよね。
理想が高すぎて自分の理想以外認めることができないか、他人の鷹揚さを許容できない、あるいはある程度自分の理想を叶えてくれるものが見つかってそれを他人に壊して欲しくないと思っているか。
でもそれって自分の中でだけやればいい話で、別に他人に自分の世界観を強要することでもないのよ。
だったらむしろ、自分が好きなものが広まるように、発信したら?とすら思う。
おれだって別に EX〇LE の曲は良いとは思わんけど、それが好きな人自分以外には沢山いるんだろうから、それはそういうもんなんだろうなと思うよ。
だいたい市場規模が全然違うしね。数で言ったら向こうの方が圧倒的に強いわけで。
たぶん EX〇LE が好きな人は、おれが好きな音楽は全然興味ないし良いとも思わなくて、むしろ「EX〇LE 聴けばいいじゃん」くらいに思ってるよ(笑)。
でも何かの拍子に、「あ、そういうのもあるんだ。それはいいね」と思うことがあるかもしれないじゃない?
そうなるかもしれない人に向けて、おれの好きなこれはここが良いんだよ、とアピールした方が将来的に同士が増える可能性が高まる。
他人が入っていることを拒否していては、あるいは入り方に制限を設けているようでは、キミの好きなその音楽とそのシーンははいずれ死んでしまう。
ぶっちゃけ、メタル好きだけど、パッチ G ジャンの文化の良さはさっぱりわからない(笑)。
でもそれが好きな人もいる。おれみたいに「なにそれ?」と思う人もいる。
好きなものは好き、そうでないものは放っておく。ヒマがあったら、好きなものの良い点を広める。そのために他者をディスらない。
ただそれだけなんだけどね。