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平成天皇って呼ぶなよ!


日本の基本である天皇に関するあれこれをいくつか書いていこうと思う。

わからない言葉がある場合は、ググるかコメントください(笑)。

退位と譲位と空位

今世間一般では、今回の御代替わりのことを「退位」とか「生前退位」などと言われているんだけど、国家の寿命が無限と想定されるのと同様に、皇統 (皇室の伝統) は途切れないものなので、退位とは即ち譲位なわけだ。

なぜかと言えば、天皇が位を退かれると即座に次の天皇が即位するから。

即座にと言っても、今回先帝陛下の御退位の儀式があり、そこから翌日に日付が変わるまで数時間あった。

じゃあそこは空位 (くうい:天皇がいないこと) になるかと言えばそうではない。

天皇陛下が御退位の儀式を終えられた瞬間に、皇太子殿下 (今上陛下) が、いわば「天皇(仮)」の状態になる。

そして御即位の儀式を経て、正式に天皇におなりになる。

法的には、4/30 の 23:59 までが今の上皇陛下が天皇陛下で、5/1 00:00 から皇太子殿下が天皇になった。

空位は起きていない。

退位は即ち譲位であると考えると、退位と言うよりは譲位と言った方が皇室の伝統 (イコール日本の伝統) としてはより正しいように思われる。

なんとなく、「退位」という言葉を普及させて、天皇が途切れるのだという意識を敷衍させたいような妙な意図がどこかにあるのではないかと勘繰ってしまう。

敬称と敬語

天皇皇后両陛下、上皇上皇后両陛下、ならびに皇族方については最敬語を使うのが常識だ。

今回の御譲位で、それぞれ呼び名が以下のように変わった。

■天皇陛下 → 上皇陛下
■皇后陛下 → 上皇后陛下
■皇太子殿下 → 天皇陛下
■皇太子妃殿下 → 皇后陛下
■秋篠宮殿下 → 皇嗣 (こうし) 殿下
■秋篠宮妃殿下 → 皇嗣妃殿下

悠仁殿下のような男性の皇族は親王 (しんのう) 殿下とお呼びする。愛子殿下のような女性の皇族方は内親王 (ないしんのう) 殿下とお呼びする。

このあたりについては宮内庁のサイトを見てもらうのが一番確実だと思う。

■皇室の構成図 (宮内庁)
http://www.kunaicho.go.jp/about/kosei/koseizu.html

なお、歴史的には上皇 (じょうこう) は略称で本来は太上天皇 (だじょうてんのう、だいじょうてんのう) と言い、その后 (きさき:妻のこと) は皇太后 (こうたいごう) と言った。上皇后 (じょうこうごう) は今回新たに作られた新しい呼び名。皇太后陛下とお呼びしても問題はないだろう。

呼び名に関しては色々バリエーションがあるが、基本的に「陛下/殿下」をつけてお呼びするのが原則だ。

昨今、新聞ですら平仮名で「さま」と書いているが、民間人が普通の会話で「美智子さま」などと言うのとは違い、マスメディアにはきちんとした言葉遣いをしてほしいものだ。

然るべき立場の方については、然るべき呼び方というのものがある。

なお、天皇皇后両陛下、ならびに皇族方に陛下、殿下をつけてお呼びすることは法律によって決まっている。

■皇室典範 第二十三条 (e-Gov/総務省)
第二十三条 天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は、陛下とする。
○2 前項の皇族以外の皇族の敬称は、殿下とする。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000003#66

■天皇の退位等に関する皇室典範特例法 第三条
2 上皇の敬称は、陛下とする。

天皇の退位等に関する皇室典範特例法について (衆議院)
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/19320170616063.htm

ちなみに、天皇からみて直系で嫡男系嫡出の三親等以遠の男性皇族を「王」、女性皇族を「女王」とお呼びする。

陛下と殿下

陛下と殿下ってどう違うの?

古く中国で、天子の称として用いられた語。「陛」は階段をいい、陛下は階段の下というのが原義。臣下(家来)は天子に直接奏上することはなく、階段の下にいる護衛の者を通して行ったことから、この語が天子の尊称となった。「殿下」も天子の敬称であるが、これも階段の下というのが原義である。
https://kotobank.jp/word/%E9%99%9B%E4%B8%8B-623837 (コトバンク)

イメージとしては、退位礼正殿の儀で当時の天皇陛下が上がってらっしゃった玉座が置いてあった壇があったでしょ。あの壇についてた階段が陛下の陛。

あれの上に入る人を陛 (きざはし) の下にいる者がへりくだってお呼びするから「陛下」。陛上 (へいじょう) とはお呼びしなかったのには何か理由があるのだろうか(笑)。

殿下も同じ感じ。歴史的な経緯で使い分けができて今に至る。

天皇の呼び方

最初に大事なことを言っておく。

平成天皇、令和天皇という存在は (まだ) いない。

昭和天皇はいる。崩御された (亡くなった) から。

昭和天皇のお名前は裕仁 (ひろひと) だった。その死後、昭和天皇と言う名前を贈ったので、今は昭和天皇とお呼びする。

これを諡号 (しごう)、諡 (おくりな) と言う。

じゃあ今の天皇陛下はなんて呼ぶの?と言ったら、今上陛下 (きんじょうへいか) とお呼びする。天皇陛下、でも全く問題ない。今上陛下は「今いらっしゃる天皇陛下」という意味。

上皇陛下、上皇后陛下については、直近でお一方ずつしかいらっしゃらないので、ことさら「今上上皇陛下」「今上上皇后陛下」とお呼びする必要はないように思う。

上皇陛下を平成天皇とお呼びするのは大変失礼にあたる。

なぜかと言えば、諡号は死後に贈られるものだから。まだ亡くなっていない方を死んだ後の呼び名 (と想定されるもの) でお呼びするのはとても失礼。

一般人で言えば、戒名で呼んでいるようなものだ。

同様に、今上陛下を令和天皇などと呼んではいけない。そう言っている人がいたら、優しく教えてあげよう(笑)。

ところで、昭和の天皇だから昭和天皇とお呼びするのが普通のように思われるが、これは明治時代以降の一世一元 (天皇一人につき元号一つ) の制度が確立されたからで、それ以前は元号と諡号は一致していなかった。

一致してないどころか全く関係なかった。例えば、後醍醐天皇の治世には「後醍醐」という元号はない。

ちなみに、後醍醐天皇は 36 代前の醍醐天皇 (第六十代。後醍醐天皇は九十六代目) にあやかって「諡号は後醍醐にせよ」と言い残していたらしい (これを遺諡 (いし) という)。

なお、天皇の呼び名にはバリエーションが沢山あり、天皇だけではなく、帝 (みかど)、お上 (おかみ)、主上 (しゅじょう)、玉体 (ぎょくたい)、至尊 (しそん) などと言ったりする。探せばまだ沢山あると思う。

上皇についても、前の帝 (さきのみかど)、治天の君 (ちてんのきみ) などと言ったりする。

個人的には、上皇陛下のことは先帝陛下、昭和天皇は昭和帝とお呼びするのが響きが良くて好きだったりする。

関係ないけど明治帝 (明治天皇) はイケメン。

というわけで、さらっと書くつもりが長くなってしまった (いつものことだが)。

次回は皇位継承について...の予定(笑)。

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