社会

自動運転のススメ


というわけで前回の続き。

■ 前回
歩けるからと言って車を安全に運転できるとは限らない

いかにして高齢者による運転の誤りによる事故を防ぐかという話なんだが、はっきり言って抜本的に根絶する方法は無いと思う。

なにしろ運動能力や判断能力に問題がない世代でさえ運転を誤って事故を起こすのだ。

自分も車庫入れなどの際に、後ろ向きに身体をひねっていると、うっかりアクセルとブレーキを一瞬踏み間違えることがある。

高齢者世代に特にそれを要求することはむしろ酷と言うものだろう。

したがって、ゼロにはならない。

とはいえ、悲劇を減らすには何らかの対策を講じないといけない。

前回、アクセルから足を離すことは結構筋力がいるということを書いた。

個人的に、高齢者の「アクセルとブレーキを間違えた」という事故は、本当に踏み間違えたこともあるだろうが、前回書いたような仕組みでアクセルから足を離したつもりが大して離れておらず、かつブレーキに載せ替えることにも失敗して、結局アクセルペダルに残ったままの右足でアクセルをベタ踏みしたことも多いんだろうと思っている。

例えばマニュアル車を推奨する。

まあ 2 秒考えれば無理だとわかる話だ(笑)。

■ 統計から見るMT車とAT車の普及率と免許取得割合のデータ
https://www.kuruma-sateim.com/statistics/mt-at-data/ (車査定マニア)

この記事によると、現在日本で販売されている乗用車の 98% は AT 車だそうだ。(乗用車と言うからにはバスやトラックは除いているのだろう)

一部の物好きが乗っていたりや軽トラ等が MT 車だとしても、まあ 90% を下回ることはないだろうと思う。

なぜ MT 車に替わって AT 車が普及したのか。それは便利で合理的だからだ。

変速機の操作が不要になれば、より運転に集中できるし、特に都市部のような渋滞や低速走行が多い地域では、AT による疲労軽減の恩恵が非常に大きい。

疲れなければ、疲労により判断ミスを起こしたり居眠り運転をするリスクが減る。

だから、MT 車を普及させることは、個別のケースの対策にはなるかもしれないが、全体的にはむしろ事故件数を増やす可能性すらある。

というわけで却下。

自動運転のススメ

となると、もう「操作しないで移動」できるようにするしかないように思われる。

すなわち、完全自動運転車両の実用化と普及だ。

これにより、「どうしても必要だから多少無理してでも運転する」層との運転ミスを減らすことができる。

なにしろ人間が操作しないのだ。人為的なミスによる事故は起こらなくなる。(自動運転車両による事故はまた別の話)

現在のカーシェアリングの発展形と考えてもよいが、自治体などが一定数をそろえて行政サービスとして行うことも可能だ。

マイナンバーカードとリンクさせて、電話やネット経由で手配すれば自宅前まで来てくれて、あらかじめ設定された目的地まで行ってくれる。

これによるデメリットと言えば、新車が売れにくくなる効果があるので、自動車メーカーから苦情が来るだろう。

ついでに、タクシーとサービス内容が丸かぶりなので、タクシー業界は悲鳴をあげるだろう。

ここで政治が「ビジネスモデルの転換点です」と押し切れるかが問われる。

もう一つ大きな問題がある。それは「利用者の意識」だ。

今の高齢者層はいわゆるところの「団塊の世代」だ。

団塊の世代は戦後復興から高度経済成長期を体験した「モノを所有する世代」でもある。ついでに「いつかはクラウン」の世代でもある。

つまり、彼らにとって自動車とは、自分で所有し、自分で運転してこそ、という意識があると推測する。

それをネットで呼び出して、自分は運転しない運転手がいない車に乗り込んで移動する。

パラダイムシフトも甚だしい。

果たしてこれに対応できる人が何割いるだろうか。

自慢じゃないが、自分の 70 代の母親は携帯電話を携帯しない人だ。たまに電話すると居間で電話は必死に読んでいるのに、本人は寝室で寝ていたりする。家の固定電話にかけるとようやく出るという具合だ。

こういう人種がそう簡単に無人の自動車を受け入れるとは思わない。

だからこれは長期的な話。技術的にも法整備的にもまだまだ、それこそ 10 年単位でかかるだろう。

あとは、「○○歳になったら運転免許は返納するものだ」という意識を周知する。

これは東京大阪などの都心部では効果があるだろう。公共交通機関が発達していれば、そこまで自動車にこだわる理由がない。

現にこういった地域では若い世代は車を所有している人の方が少ない。

ところが、車社会の地方ではそうもいかないだろう。

一家に 2 台、3 台が当たり前の地方で自動運転車に買い替えろと言うのも負担が大きい話だ。

地方では、コンパクトシティを作ってそこに固まって住んでもらえれば、自動車は不要になるだろうが、莫大な予算と時間が必要だし、そこから漏れる人はどうしたっている。

あとは、そうだな~、現在の自動ブレーキシステムを進化させて AI 化することで、明らかに危険な操作 (コンビニの駐車場で店舗に向かってアクセル踏むなど) に関しては、人間より機械の操作を優先させることができるように...なるかもしれない。

というわけで、色々書いたが、少なくとも短期的な抜本的な対策は無いというのは以上のような理由による。

他に何かアイディアがある人がいたらぜひ発信してほしい。

一つ付け加えるとすると、やっかいなことに「移動」は絶対に必要な行動なので、経済合理性を上回ることがあるということだ。

家の周りは田んぼだらけで近くの病院まで数キロというような地域の場合、そこに行くために自動車しかないとなれば、人は自動車を手放さないだろう。

案外、この問題は社会構造が大きく変わるまで解決しない問題なのかもしれない。

-社会

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。