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所変われば色々変わる


ことわざで、ところ変われば品変わるというのだけれど、いろんなことについて同じことが言える。

たとえば一つの事柄に対して、Aの見方とBの見方がある。あるいはそれ以上の複数の見方がある。

同じ会社の中でもヒラ社員と管理職や経営者では同じ仕事でも見方が違うだろうし、同じ一つの仕事でも発注側と受注側の考え方は異なる。

報道されるニュースに対しての見方も人それぞれだ。

ネット上でのニュースについてのコメントなんかを見ていると、いろんな考えの人がいるものだと発見があるし、中にはそんな変わった視点からの見方があるなんて想像もしなかった、みたいなものもある。

一つの事柄に対して、この考え方が絶対に正しい、あるいは正しいのはこの考え方だけだ、ということはない。

社会にある事柄一つ一つについて、それにかかわる人それぞれにそれぞれの考え方がある。

その中で、多くの人がこうだろうと思うことや意見が、普通や常識や世論になっていく。

常識が何かを決めるのは誰でもないようで、みんなで決めている。

社会の中でお互いに接触していく中で相互に経験を重ね、経験則としてある事象についての他者の反応を「まあ、たぶんこうだろう」という推測ができるようになる。

例えば方言なんかが顕著な例で、特定の地域の中で育った人間は、その地域で使われている言葉の使い方を学習してそれを使うようになる。それはその地域の中では普通のことだ。

しかし、別の地域に行くと、同じ日本語でも発音や言葉の使い方が大きくあるいは小さく異なることがある。

それは、その人の地元の普通と離れた地域の普通が異なるからだ。

理由は様々で複合的だ。気象によるもの、商習慣によるもの、作物や食品によるもの、土地の状況によるもの。様々に異なる。

江戸時代に諸大名が江戸に集まっていたが、東北と九州の人間では会話が通じず、通辞(通訳)が必要なほどだったという。

明治時代になって、そのギャップによる非効率を埋めるために、東京の山の手の言葉をベースに共通語が作られた。

東京などの都市は経済活動が活発であり、文化の発信能力も高いために、都市部以外の地方出身者が自身の出身地域の方言についてコンプレックスを抱くことがある。

逆に東京では、江戸弁、東京弁、あるいは武蔵弁といった南関東方言というのは共通語に内包されて、どの言葉がもともとあった言葉なのか区別ができなくなっている。

自分のような東京生まれ東京育ちの身からすると、共通語しかしゃべれない。

方言という特殊能力を話せる人は自分にはないものを持っているなと思う。

江戸弁が聞きたければ落語でも聞くしかない。

東京方言が何であるかを知るには書籍をあたるなどして意識的に学習しないといけない。

もちろん、共通語が明治以降の日本の成長に果たした役割は大きいだろう。

一方で、方言による地域性の保持という役割も今や見直されてよいように思う。

21世紀の新常識

各個人がそれぞれ持つ「普通」や「常識」が大きく変化を迫られるようになったのは、21世紀になってインターネットが普及したこと、そしてさらにSNSが普及するようになったことによる。

個人が空間を超えて同じ場所で発信するようになったことで、それまでは近距離での直接接触により更新されていた「普通」は大きく揺さぶられることになった。

自分の考えがネット上の意見とは異なるものだったり、あるいは海外の人間と比べて我々日本人の発想の特徴的な部分について、個人レベルで比較検討することが可能になった。

確かに個人が素人レベルで手を付けるから恣意的、あるいは偏ったものになる傾向があることは否めないが、それを差し引いてもこのパラダイムシフトは人類全体に影響を及ぼすと言っても過言ではない。

前世紀までは実際に別の地域に行ったり、書籍やマスメディアを通してしか検証できなかったものが、即自的かつ直接的にできるようになった。

湾岸戦争は史上初めてテレビ中継れた戦争と言われたが、アラブの春なんかでは個人によるライブ配信が行われていた。最近の香港のデモでも同様だ。

人間が空間を超えて世界規模で情報発信をするという事象は、地球の歴史上になかった。

それは人々の意識に作用し、かつてなかった新しい種類の変化をもたらすのではないだろうか。

もちろんネットやスマホがなかった前世紀までだって、人々の社会生活の変遷にともなって、常識もゆっくりと変化してきた。

ところが、21世紀の情報発信の量と規模はそれまでとは比較にならない。かつてなく速い変化が現れてもなんら不思議ではない。

前世紀の常識が今世紀中も常識である保証はどこにもない。

そういう意味で、人類の歴史は新しい局面に入ったのかもしれない。

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