経済

子育てに金がかかるから少子化になる


「喫緊の課題」という言葉をよく社会問題を語るときに使う。

今すぐに取り組んで改善しないといけない問題のことだな。

憲法と安全保障、経済、教育、社会保障、まあ色々ある。

経済はまともな経済振興策をやれば来月から良くなる。社会保障や安全保障も予算がつけば来年から改善される。

ところが、その中でやたらめったら効果が出るまでに時間がかかるものがある。

それが教育と少子化対策だ。

一般に、高等教育を受けた人の方が収入が高くなる傾向がある。

高卒より大卒の方が高収入の職に就けるということだ。

教育政策を改善しても来月や来年からすぐに効果が出るものでもない。早くて数年かかる。

少子化対策に至っては、それが労働者の所得から税収となって国に還元されるのに、早くて18年以上かかる。大卒なら22年だ。

ということは、来年度から始めても効果が出るのは2040年以降ということになる。

つまり今すぐ始めなきゃいけないということだ。

基本的に、人口は多い方が良い。

生産者と消費者の両方が多くなれば経済活動の規模が大きくなる。

地方の町村より東京大阪の都市部の方が利便性が高いように、「規模の経済」というのが働いて、経済活動は人口に応じて高度化、高速化する。

さらに、集合知などと言われるように、たくさん人がいれば問題解決の能力も上がる。

それと同時に突飛なアイディアが出る確率もあがるので、新しい産業やサービスが起きる可能性も高まる。

ただ、それにも質が伴う必要がある。質の高い教育を受けた人が沢山いればそういうことが起きる。

バングラデシュやアフリカ諸国など低開発国で人口が多い国があるが、その国がその水準に留まっているのは、歴史的経緯などいろいろ要因があるが、技術水準が高くないということも要因の一つだ。

技術が無いのでインフラなどを整備するのにも海外企業に発注をせざるを得ず、その結果国富(国の富、税収)が外国に流出する。

その結果、教育に回す資金が不足し、教育水準が上がらずに技術水準を上げられないという悪循環だ。

産業でいえば、自動車なんかがその典型だったりする。

先年経済破綻が言われたギリシャに自動車産業が...ないことはないのだが(実際ギリシャにも国産自動車メーカーはある)、隣にドイツ、フランス、イタリアという自動車大国があるためにギリシャ国民の選択肢は国内メーカーには向きづらい。

ギリシャ国民も品質の良い自動車を手に入れようと思ったら、ドイツ車を買うことになる。

子育てには金がかかる

さて、日本で戦前、あるいは終戦後しばらくまでは、五人兄弟、六人兄弟というのが珍しくなかった。

これは、避妊の概念が薄かったり乳幼児の死亡率が高かったせいもあるのだが、子供が速成の労働力として期待できたという面が大きい。

子供のうちから他の兄弟の面倒を見させ、親は労働に専念する。

ある程度大きくなれば長子から親の家業を手伝わせる。次子以降にはその下の子供の面倒にみさせる。そのうちにまた兄弟を作っておいて、次子が仕事を始めたら三番目以降が下の子の面倒を見る、というサイクルだ。

これは、教育に金と時間がかからなかった時代までの話だ。

戦後、就職列車に乗って地方から都会へ人口が流入し、日本の工業化、第三次産業が一気に花開き、高度経済成長期を迎えた。これをルイスの転換点という。

こうなると、その世代は都市に定住し、彼らが作り出す次の世代にはより高度な教育を受けさせようとする。

結果、教育に費用がかかるようになり、5-6人兄弟が当たり前だったのが、3人兄弟が平均的になる。

この現象は日本のような先進国どころか中進国でも起こる現象のようだ。

さらに不況が続いた今日の日本では、1人作るのもどうか、という状態になっている。

要するに、結婚すると金がかかるし、子供を作るとさらに金がかかる。今の所得では賄えないから子供は作らない、さらには結婚すらしないということが起きている。

欧州の例などを見るに、不況を脱して所得が増えるようになれば良いかというとそうでもないようなので、そもそも子供に金がかかるという状況をなんとかする必要があるようだ。

つまり、「子供を作ると経済的に得だ」ということになれば、金がないことが子作りを躊躇う理由にはなりづらくなる。

夫婦の間に一人生まれると得をし、二人三人となるともっと得をする、という状況を作ることができれば、少子化問題の改善策になるだろう。

具体的には、所得税の減免年金支給額の増額教育費の無償化、さらには政府から直接給付金が出るということをやってもいいくらいだ。

確かフランスあたりではそんな政策をやっていたと思う。フランスの合計特殊出生率は1.96、人口を維持できるレベルになっている。

もちろん、そのためには政府に十分な税収が確保されていないといけないので、経済が活発に回っていないといけない。

しかも、先にも言ったように、教育と少子化対策の効果が還元されるのは早くて20年後だ。

最低20年以上、経済の好調を維持し、税収を拡大して少子化対策の費用を確保し、そのうえで教育の質も維持しないといけない。

それでようやく効果があったかどうかわかるだろう。

公平に負担するという意味では教育国債を発行して30年くらい借り換えすればいいと思うんだけどね。

結局金かよという話になるんだが、実際世の中金なわけだし、行政が何かやると言ったらまず予算という話になる。

結局金かよという話は、金が十分にあったうえでやる場合には選択肢を金以外に向ける効果があるが、金が無い状況ではまず金の話をするべきだ。

ということで、結局消費税上げてる場合じゃないんだよな~という論点に帰着する(笑)。

-経済

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。