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最低賃金1500円+政府補償にいくらかかるか計算してみる


引き続き参院選に関連して。

山本太郎氏が政治団体旗揚げの公約で「最低賃金を1500円にし、企業の経営状況により不足する分は政府が補償する」と言っている。

■れいわ新選組・政策
https://v.reiwa-shinsengumi.com/policy/ (れいわ新選組)

個人的には山本太郎と言う人については、東日本大震災の時に福島の放射線についてのデマを流したり、中核派からの支援を受けていたりするので、基本的には支持してない。

政治家にならずに俳優やってりゃよかったのにな~メロリンQ懐かしいな~と思っている。

話を聞くに、一点、減税と金融緩和が景気浮揚に効果があるという点だけは理解しているらしい。

だが他の政策はおおむねトンデモだ。

じゃあそのトンデモがどのくらいトンデモかを検証してみる。

言っておくが素人の計算だから鵜呑みのみにしないようにな(笑)。

最低賃金とは

最低賃金というのは、これ以下の給料で雇用してはいけません、というライン設定のこと。

そして、「最低賃金 = 時給」だということ。

なぜかと言えば、非正規雇用者の最低賃金を定めておけば、それより安い賃金で働く正規雇用者は理論上いないから。(実態はともかく)

現在の最低賃金は全国平均で874円、東京都で985円となっている。

■平成30年度地域別最低賃金改定状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/ (厚生労働省)

東京でバイト募集するなら時給1000円が普通ってことだな。

全国平均874円のものを、山本氏は1500円にすると言っている。ほとんど倍増ということだ。

じゃあこれが非正規雇用者に適用されたらどうなるかを考えてみる。

非正規雇用者の母数

最新情報だと非正規雇用者の数は2162万人。全労働者の38.5%を占めている。

■労働力調査(詳細集計) 平成31年(2019年)1~3月期平均(速報)結果
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/2019_1.pdf (総務省統計局)

この状況が良いのか悪いのかというのは今回は置いておく。

次に、非正規雇用者が今どれくらいの賃金で雇用されているのかと言うと、平均時給1301円。

■「非正規雇用」の現状と課題 【賃金カーブ(時給ベース)】
https://www.mhlw.go.jp/content/000501869.pdf (厚生労働省)

これはフルタイムの派遣みたいな人の賃金なので、週三日とか一日4-5時間で働いている人の賃金はもっと安いが、一応これを平均とする。

最低が874円で、平均が1301円とすると、上限は1728円ということになる。これで概ね非正規雇用の賃金はカバーできるはず。

図にするとこんな感じ。

これを最低1500円にしようっていうんだから、こういうことになる。

政府補償がいくら必要か計算してみる

・労働者数:2162万人
・平均賃金:1301円
2162万×1301 = 281億2762万円。これが現状の非正規雇用者に「一時間ごと」に支給されている給与。年収にすると54兆9051億円。

で、これを最低が1500円ということにすると、874円から1728円の間で1500円というと、現状の73.6%がカバーされる。人数で言うと1592万人にあたる。

この賃金帯の約3/4を占める1592万人の平均賃金は1187円で、額にすると188億9704億円。これを政府が補償するということらしい。

ただこれは時給なので、フルタイムで働いているとして、
・対象者の時給:188.9704億円
・一日の労働時間:8h
・2019年の土日祝日を除く稼働日数:244
→ 188.9704億×8×244 = 36.8870兆円

■2019年の祝日と稼働日数(土日休日の場合)
https://blog.apiless.com/2018/12/16/kadou2019/ (apiless blog)

54.9051兆円の73.6%というと40.4101兆円。

さっきの36.8870兆円との差額が、3.5231兆円。これが政府補償に必要な金額。

しかも2019年は休日が多いし、さらに残業代は含んでいないので、おそらく4兆円を超える歳出が必要になると推測できる。

ちなみに日本の税収は59.1兆円な。

■税収に関する資料
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/a03.htm (財務省)

ところで、最低賃金を1500円にすると、日本の労働者の28%が強制賃上げになるから、えらいことインフレになると思うよ。

で、このインフレはコストプッシュインフレと言って、必要な費用が嵩むので仕方なく物価が上がる良くないインフレだ。

低所得者層は消費性向が高く、政府が補償するとしても、毎年4兆円が必要。

政府財政を圧迫するし、労働市場をいびつなものにするだろう。

なんせ政策実施以降は1500円出さないと新規で雇えなくなるだろうし。払えないけど雇うとしたら政府が賄わないといけない。それなんて社会主義?

正規雇用の労働者にしても、バイトの生活費を正社員が払っていることになり、社会的に不満がたまるだろう。

いずれにしろ、いびつな政策だし、良いことないと思うな。

これは給与の補償なので債権で払うわけにもいかない。現金でないといけない。毎年4兆円現金が必要な政策って財源どうすんだろうね。

経済規模が成長して物価が上がれば政府補償の額も下がっていくだろうけど、それまで財政が耐えられるか不透明だし、こんなことやるくらいなら物価目標2%を達成するまで労働者に毎月数万円配る方がよほど効果的だ。

というわけで、この主張は本当にトンデモ。ファンタジーの類。

ちなみに今時給1500円の派遣と言ったら、それなりにちゃんとスキルがないと雇用されない。

IT系だったらサーバー管理ができるとか、プログラムがわかるとか。あるいは夜間の保守の仕事とか。

てことで、明日は最低賃金ってさあ...っていう話をしようかなと思う。

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