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最低賃金とは


昨日珍しく実践から先にやったんだけど、今日はその前提である最低賃金ってなんじゃらほい?という話。

■昨日の記事:最低賃金1500円+政府補償にいくらかかるか計算してみる

最低賃金とは、労働者を雇用する際に払わなければならない賃金の下限額のこと。これに違反すると、つまり最低賃金以下で雇用すると、罰則がある上に最低賃金で雇用した場合との差額を支払わされる。

詳しくは厚労省のページを見るとよい↓

■最低賃金制度とは
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/kijunkyoku/minimum/minimum-10.htm (厚生労働省)

昨日の記事でも書いたけど、「最低賃金は時給」なわけだ。

なぜかと言えば、正規雇用の方が非正規雇用より賃金が高いのは当たり前で、一日数時間、あるいは週数日といった働き方しかしてない人の方が立場が弱いので、こういう人たちの労働環境を保護するために、この最低賃金制度の趣旨がある。

つまり、この最低賃金の額が上下すると、第一義的に影響を受けるのは、パート、アルバイト、派遣の人ということになる。

正規雇用、要するに正社員の人も影響を受けないわけじゃないけど、それはバイトの賃金が上がって社員の給料に近づいてきちゃうと社員の給料も上げないといけなくなるという二次的な要因による。

ちなみにこれは雇用契約の中での話なので、請負やフリーランス、単発の発注で仕事をしている人にはあまり関係なかったりする。ついでに管理職、経営者も関係ない。当たり前だけどな。

つまり、パート、アルバイト、派遣の給料の話なわけで、要するに低所得層に影響が大きい話だ。

低所得層 = 社会的弱者に関わる話ってことで、左翼、左派の人がこの話を主張したがる。それ自体は悪いことじゃない。

最低賃金を上げると誰が影響を受けるか

最低かどうかに関わらず、賃金が上がれば労働者としてはうれしい。

他方、賃金を払う人もいるわけで、そちら側にとっては人件費が増えることになる。

で、この最低賃金が上がると、まずどこから影響を受けるかと言うと、「地方」の「零細企業」から影響を受ける。

最低賃金の額が都道府県によって異なる。

賃金が地方によって高い低いがあるのには、それなりに理由がある。

その地域の物価や経済活動の規模、あるいは消費者の数や動向、様々な要因が関係する。

一般に、都市部に比べて経済活動が活発でない地方で小規模事業を経営する会社は、経営の体力が小さい。

パートやバイトに最低賃金ギリギリしか払えない会社というのは、経営判断としてそうしているので、バイトの給料上げて会社が潰れたら元も子もない。

もちろん、最低賃金も払えないような会社は市場から退場していただく方がよいという意見にも一理ある。

競争の中で業績を上げて生き残れない会社は淘汰されるのが、資本主義、自由主義経済としては健全だ。

日本の経済は、資本主義、自由主義なわけだが、市場の論理を超えて最低賃金を上げると、必要のない会社まで市場から追い出してしまうことになる。

そうすると一時的に労働者の所得は増えるかもしれないが、中長期的には経済規模の縮小や、失業者の増加、巨大企業による寡占を進めることになるだろう。

なぜかと言えば、人件費が高すぎて会社が潰れたり、新規雇用を見合わせたりするから。

じゃあと言って、山本太郎氏はそこに「不足分は政府が補填する」という一文を書き加えたんだろうけど、それだって原資は税金なわけで、民間企業の職員の給料を政府が(一部とはいえ)払うというのは、現状の経済としてはイビツと言わざるを得ない。

賃金は物価と連動している

最低賃金の話で、よくオーストラリアは最低自給が円換算で1500円だとかいう話を聞くんだけど、外国と比べるのってあんまり意味がないのよね。まあもちろん全然ないとは言わないけど。

日本と外国の何が違うかと言えば、法制度も商習慣も労働に対する価値観も何もかも異なる。

チップがあったり無かったり、飲食店で水が有料だったり、数年に一度転職するのが普通だったり。

そして、何より「物価が違う」。

例えば東京都の最低賃金は約1000円だけど、物価が日本の数分の一という国もある東南アジアから出稼ぎにきた人なら天国だわと思うかもしれない。

ところが、日本より物価が高い地域から来た人にとってはこれだけしかもらえないのかと思うだろう。

もちろん地域によって食費の高い安いなどがあるだろうけど、バイトの時給が高いところというのは、それなりに理由があると考えてよい。

食費、家賃や水道光熱費、移動費などにかかるお金が大きければ、高い賃金も帳消しになるし、労働時間に制限がある場合もある。

まあワーキングホリデーなんかの人は時給高いところに行けばいいかもしれないけど。

中国やベトナムなんかの社会主義の国は別にして、資本主義の国では基本的に「最低賃金は市場と政府の経済政策が決める」と考えてよい。

営利企業は、その地域での企業活動に必要な臨時職員を募集するにあたり、物価やどれくらい出せばコスパの良い労働者が集まるかを勘案して告知を出す。

安すぎれば人は来ないし、高すぎれば利益を食いつぶす。このバランスを見る目は非常にシビアだ。

最低賃金で雇用される労働力というのは、まあ要するに「人手」なわけだ。

スキルも必要なく、今日採用して明日から来てもらって一日レクチャーすれば明後日からもう仕事に出せる、みたいな仕事と想定される。

例えば繁忙期で二か月だけ流れ作業をやってほしいとか、誰でもできるんだけどとにかく人数が必要な仕事といった具合に。

ぶっちゃけた話、営利企業はこういう仕事の人件費はあまりかけたくない。できるだけ安く抑えたい。

放っておくと時給300円とか400円で雇いかねないから、最低賃金でこれだけは払いなさいよという法律になっている。

おれの父親が就職した昭和33(1958)年頃は、大卒の新入社員の初任給は確か17000円くらいだったと思う。

そのころだったら、時給300円は破格の高級だ。なにしろ一ヶ月フルタイム(8h/day*20日)で働いたら、48000円になってしまう。大企業の部長クラスあたりか。

ところが今はそうではない。今の大卒の初任給は20万円かそこらだ。そんな社会で月給5万円で雇用されてると言ったら労基に駆け込む案件だ。

一般労働者の給料が社会情勢の影響を受けかつ反映しているように、最低賃金の額も物価や世相によって上下する。

デフレが解消しきれずに物価が下がり続けているのだとしたら、最低賃金だって下がる。そこだけが上がらないといけないということはない。

その中で、低所得者の生活を維持するために、物価の推移よりちょっとだけ上げるというのはアリだと思う。

ところが、物価や経済状況を無視して「みんな時給○○円だー!」とブチ上げるのは、単に人気取りのためか、突飛なことを言って衆目を集めたいか、あるいは経済を全く理解していないかだ。

例えば、低所得層に影響の大きい消費税を減税して、金融緩和を倍増させ、これで景気が上向くから、そのうえで対物価で何%最低賃金を上げるというならマトモな社会政策と言えるだろう。

まあ確かに地味になってしまうから、選挙の公約としては扱いづらくなるかもしれないが。

それにしたって、時給1500円はやりすぎ。

今最低賃金1500円にしたら不況になって失業者が増えると思うよ。実際直近で韓国が経済政策をやらずに最低賃金だけ爆上げして経済が縮小している。

沖縄なんか最低賃金762円だからね。来年からバイトの人件費が二倍になるといったらコンビニやスーパーは軒並みいなくなるでしょ。

じゃあそこで働いてた人はどうするの?生活保護?生活保護だって税金だよ?

というわけで、現実的な手段で経済を良くする!と主張する候補者が立候補してくれないかなあと思うわけですよ。

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