雑記

ぼくのなつやすみができない


そういえば学生さんは夏休みなので、夏休みの話。

昔、バンドメンバーの家で「ぼくのなつやすみ」というゲームをやったことがあった。夏休みに田舎で色々好きなことをするというゲームだった。

ところが、自然の中で何かをするという経験が全くなかったおれは本当に何をしたらいいかわからずついでに操作方法もわからず、開始数分で早々に溺死というありさま。

今では夏の話題のネタにしてるんだけど、大学生になるまで本当に全く自然に触れないまま過ごしてきた。

東京生まれ東京育ちで家が新宿までチャリ圏内の都心、親がインドア派となると、自然に触れる機会はほぼゼロと言っていい。

牛を初めて見たのは中学の社会科見学の途中、アメンボを初めて見たのはバンド始めてからツアー中に四国で四万十川の川べりにおりた時(つまり21世紀になってから)、という具合。

そうだ、親の実家が23区内。しかも自分の家より都心で山手線の内側。これでトドメだな(笑)。

なにしろ帰省すると言っても電車で30分かそこら、ドアトゥドアで45分くらいで帰省できてしまう。

だから、「秋田のおじいちゃんちに行ってくる」とか「宮崎のおばあちゃんの家に一週間行く」みたいなことがない。

さらに言うと、親が親戚づきあいが苦手で、その親戚も数が少ない。

となると、小中高まで地元の公立校に通っていたおれの世界というのは自宅を中心とする半径数キロしかなかった。

■やったことないものリスト
・虫取り
・川で泳ぐ
・キャンプ
・秘密基地作る

あとなんだ?海水浴には行ったことある(笑)。

小学生のおれにとって、川と言ったら神田川なわけよ。護岸は全面コンクリだし橋から川面まで10mくらいあるから川に触れるなんてできるわけがない。

虫...近所にいた虫というと、ヨコバイとGくらいかな。どこか遠くにカブトムシっつーのがいて、最近デパートで売られるようになったと小学生の時に聞いて「ふーん」てなもんだった。

そういえば小学生くらいまでは秋になると赤とんぼがいたけど、もう久しく見てない。

秘密基地作るつってもねえ、作る場所が無いしねえ。小学校が終わって集まる場所と言ったら学校の校庭開放くらいだったしな。

ドラえもんでよく「空き地」が出てくるけど、あれも近所になかったな。

そういえばその逆のことがあった。

ドイツの留学時代に、最初の一ヶ月はMontabaur(モンタバウア)という田舎村のユースホステルに放り込まれて缶詰で特訓を受けさせられた。

フランクフルトから100kmあるかないかくらいなんだけど、まーそこがびっくりするくらいの田舎でねえ(笑)。

数少ない休日の朝にジョギングしに宿舎の裏手にある林に続く道を行った。

どこへ行くかわからないけれど、まっすぐ道沿いに行けば迷うことはないだろう。

しばらく行くと林が終わって、丘のふもとにいた。牧草地だったのか、丘の上の地平線まで草っぱらだった。

ドイツは高い山が無いので、すぐ地平線が見える。迷わないように目印になるものを確認して、丘の上まで行ってみることにした。

しばらくのぼりながら横を見ると、遠くにある防風林だろうか、の切れ目の向こうに、さらに延々と草原が広がっていた。

「なんだかすごいところに来てしまった」と「こんなところがあったのか」が交錯した。

やがて、丘の上についた。あたりを見回してみると、見渡す限りの草原、そして点在する林。人家はほとんど見えない。

あの時感じた開放感、この先にまだあるという高揚感はいまだに忘れられない。人生で一番ドキドキしたことの一つに入るな。

ほら、日本で事前に自然で感動する体験をしてたらこっちのが薄れたかもしれないじゃない?と負け惜しみを言っておく。

ついでに言うと、このMontabaurの一ヶ月の滞在の後に住んでたHalle(ハレ)という本命の留学先もまーまー良い感じに田舎だった。

川越の郊外というか、北関東っぽいというか。

ちなみにドイツはフランクフルト、ベルリン、ハンブルクあたりの日本ぽい大都会はわりと異常な部類で、数万人から十万人規模の街が点在している方が普通。

日本だと片田舎レベルのHalleもドイツだとそこそこ大きい街の部類に入るくらいだ。もともと都市国家の連合から現在の連邦制の国家体制になったことを考えれば、突出した規模の都市はできづらい。

で、まあ自然体験がほぼゼロなわけだけど、別にそれを不幸とかかわいそうと思ってもらう必要はなくて、おれにとっては自然と言うのはなかなか触れられないものであることが普通なのよね。

知らないものは知りようがない、みたいなもんで。身の回りになかったものを「身の回りになかったの~?」と言われても「そうだよ」としか返答しようがない。

で、こういうネタを書くと「じゃあキャンプ行こうぜ!」と言ってくれるとってもありがたい人がいるんだけど、なんでか知らんけどタイミングが合わなかったりしていまだに行けてない。

まあいいんです。おれはそういうのに縁が無い人なんです。室内で本読んでればいいんです。

というわけで、「どうだ、自然に触れたことないぜ。フハハハ」という話。

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