ライブレポート

【ライブレポート】M.D.M.S (ワンマン) @ 吉祥寺CRESCENDO 2019/08/31


心震える経験はやはり文字に残しておくべきだろうと思う。

ライブレポートに正解は無いし、会場での経験以上に説得力を持つ言葉は無いとしても。

2019年いっぱいでの無期限活動休止を発表したM.D.M.Sのワンマンライブ。

開演直後に耳を打ったのは、やはりというか当然というべきか、クリアなラウドさだった。

極太のベースとラウドだが心地よいドラムのビート、フックの効いたギターのフレーズに鬼気迫るボーカル。

これだけでもう「今日はなんだかすごいことになる」と確信させるに十分だった。

彼らのライブレポートでいつも書いていることだが、このバンドは非常にミュージシャンシップの高いバンドだ。

SNSでのキャラの立った告知や笑いの絶えないMCの方に目と耳が行きがちかもしれないが、バンドとしてのレベルはとても高い。

個々に異なる楽器を持った4人が合わせた時に放たれる、バンドとしての音の一体感、爆発力、抑揚、緩急。

ステージから繰り出された一音一音がきちんとフロアにいるオーディエンスの耳と身体に届く。この重要性。

そのためには個々の技量の研鑽が欠かせないし、サウンドメイク、そのための機材のチョイスから、もはやスピリットの共有や気配を感じれるかどうかというレベルにまで至る必要がある。

M.D.M.Sが結成以来積み上げてきたものが、この日大輪の花を咲かせた感がある。

ライブバンドとしてのM.D.M.Sの真骨頂を見た人も多いだろう。

不思議なもので、優れたエンターテイメント、質の高いライブ演奏には引力が発生する。

ステージから音が放たれて空気の振動は観ているこちらに向かってきているはずなのに、その逆にこちらの意識と身体はステージの方に吸い寄せられていく。

その結果、歌詞の世界観が見えたり、歌詞を知らない曲でも何を歌っているかがわかったりする。

この現象が、この日の彼らのステージには起きていたように思う。

そしてそれを我々は「素晴らしい」とか「かっこいい」と言ったりする。

彼らは彼らの美学にのみ従う。

彼らがイメージするロックの形、彼らが良いと思う楽曲をロックのアンテナが備わっているリスナー、オーディエンスに提供する。

時代の衰勢に媚びることは無い。音楽を具現化するために妥協することも無い。

ハードロック、ヘヴィメタル、ブギーっぽいところもある。シックだがルーズなバラードもある。妖しくグラマラスに、様々な要素が曲ごとに入れ代わり立ち代わり顔をのぞかせる。

総体を一言で言えば、ラウドでルードなハードにドライブするロックンロールといったところだろうか。

彼らは楽曲そのものについて多くを語ることはしないが、様々な要素を内包しながら、中心を貫く太い芯の存在感がオーディエンスを捉えて離さない。

その確信的な頼もしさは、そこに身を任せることが心地よいと感じさせ、ある種の陶酔感さえもたらした。

この日彼らが演奏したのはアンコールを含めて19曲。

本編終了後に珍しく長めにそして切々と語られたMamiyaの心中の吐露を聴けば、大ボリュームのワンマンライブを満喫したことによる満腔のカタルシスの中にもひとひらの寂寥感が舞い込むことを妨げることができない。

ベースのDaibonはこの日を以て一足先に活動休止に入るが、彼らがM.D.M.Sとしての活動を完全に休止してしまうまでにあと4ヶ月。

年が明ければ彼らのいないシーンが始まるとも言える。

もちろん個々に活動を続けていくのだろうが、気が付けば刻み付けられていた彼らの足跡の大きさを想う。

復活の日を心待ちにしながら、ひとまず今年のうちは、彼らの背中を見届けようと思う。

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Photo by Rie (Twitter @0o.sea.o0 Instagram @0o.sea.o0)

-ライブレポート

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