文化

なろう小説に出会った話


歴史小説をずっと読み続けてきて、もう日本で出版されているものであと有名どころは司馬遼太郎と山岡荘八の徳川家康(全26巻!)と吉川英治の私本太平記(全8巻)くらいかなあというところまで来てしまった。

しかし司馬遼太郎は説教臭くてどうも受け入れがたい。坂の上の雲や菜の花の沖も一応読んだけど、物語の面白さより「司馬先生の講義」の印象が強かった。

吉川英治は新・平家物語でひいひい言いながら読んだので、もう20巻以上の大作はしばらくいいかなと思っている。

そこで、たまには別ジャンルでも読むかなと考えた時に、ファンタジーを読もう!と思い立った。

ドラクエ世代(II-Vくらい)なので、剣と魔法は大好きなのだ。

特別何か狙うわけでもなくさまよっていたら、「なろう小説」というジャンル(?)に巡り合った。

小説家になろう

「小説家になろう」というサイトがあって、ここに書きたい人が小説を投稿できる。

まあ昔の2chのスレッドが小説の読み書きに特化したようなものかもしれない。

面白いものは何万、何十万というアクセスを集め、書籍化、漫画化、アニメ化されたりもしている。

ジャンルは多岐にわたるのだが、一番人気かつ量も多いのはファンタジー、それも最近人気の異世界転生ものだ。

不遇な主人公が事故などで死んでしまい、ファンタジー世界に転生して、最強スペックで色々非常識なことをしつつも敵を倒したり冒険したりするというアレだ。

で、この「小説家になろう」に投稿されている異世界転生ものを総称して(そしてテンプレ的なストーリーであることを揶揄して)「なろう小説」というのだそうだ。

まあたしかに異世界モノ以外で小説家になろうから有名になったものって見ないな。

とはいえ、もともと最初に読み始めたのは「スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました」という、どちらかと言うと日常系のやつだったりする。

最近の流行でタイトルでだいたいの内容を説明するという火サスのラテ欄みたいなことになっているが、これが面白そうだなとおもって読み始めた。

予想以上に面白かったなろう小説

この「小説家になろう」は言ってみれば、インディーズ小説家の品評会みたいな場所だ。

作者も様々で、中には学生もいるし、なんならスマホで書いている人もいるらしい。21世紀だな。

今まで読んだ中で面白かったものをいくつか挙げるとこんな感じだ。

・スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました
・転生したらスライムだった件
・ありふれた職業で世界最強
・駆除人
・失格紋の最強賢者 ~世界最強の賢者が更に強くなるために転生しました~
・そのおっさん、異世界で二周目プレイを満喫中
・賢者の孫
・誰かこの状況を説明してください

他にも色々ある。なんなら漫画で読んだりアニメで見た作品が、実はここが原作だったなんてことはよくある。

「オーバーロード」はアニメの方が良くできていたかもしれない。「転スラ」は小説の方が内容が濃くて面白い。

なろう小説の特徴

出版されている小説との最大の違いは、著者が書いたそのままがアップロードされているということだ。

それはつまり、編集者による校正が入っていないということで、誤字脱字は日常茶飯事だし、なんなら人物名が間違っていたりすることもある(笑)。

だから推測したり自分で頭の中で修正しながら読む必要がある。

もちろん、書籍化されたりアップされて長いこと経っているものは修正されていることもある。

次に、著者により削除されてしまうこと。

これはおそらく書籍化やコミカライズの際の版権の関係や、売れるものを無料で公開してたら損じゃん!ということなので仕方がない。

あとは、この「なろう小説」全体に共通する独特のテンポの良さが挙げられるだろう。

書籍であれば「ライトノベル」というジャンルにくくられるだけあって、やたらと話の進むテンポが良い。

もちろん必要なものはきちんと描写されている作品がほとんどだが、全体的な軽快さは歴史小説や文芸作品には無いもののように思う。

読み方としては、本家でのランキング機能を元に評価の高いものから読んでいけばいいし、なんなら非公式だがアプリもいくつかあるので、それで読んでもいい。

ただ、これは個人的なものだが、スマホで小説を読むとやたらと目が疲れる。

ディスプレイが発光しているせいだとは思うが、尋常じゃなく目が疲れる点だけは、紙の方が良いなと思う。まあ紙で読みたかったら書籍化されたものを買えばいいのだが。

小説、アニメ、漫画、それぞれの良さ

他メディアへの展開には、原作のファンからしたら若干警戒的にならざるを得ないものがある。

が、それは展開した先でファンになる人もいるわけで、その作品の知名度拡大のためには、展開した方が良いのだ。

まあ別メディアでのクオリティが一定程度保証されている前提での話だが。

ウェブ小説では物理的な制約がないので著者が書きたいことを書きたいだけ書けるという利点がある。

書籍では、プロの編集による校正が入り、誤字脱字や無駄な描写が削られ、「商品」としての一定のクオリティが確保されていることが多い。

漫画になれば、我々の社会と根本的に異なる異世界の具体的な描写や魔法の効果の描写、キャラクターの表情などの具体的な描写を行える。

アニメになれば、動画としてのより即物的な描写ができる。

というように各メディアにはそれぞれの良さがある。

もちろん、物理的な容量制限の少ない書籍、ウェブ小説に比べて、漫画やアニメがダイジェスト的になるというデメリットもある。

あるいは漫画やアニメから入る人は、原作の小説で若干設定が違っていたり、好きなキャラがアニメオリジナルだったりして戸惑うなんていうこともある。

それも含めて、それはそれこれはこれ、で楽しめばいいと思う。

食わず嫌いを悔やむ

一連のこの「なろう」系作品に出合うまで、(特に最近の)「ライトノベル」というのはあまり視界に入ってなかった。

ロードス島戦記や十二国記をライトノベルに含める人もいるらしいが、おれはあれは「ファンタジー小説」という別物だと思ってた。

視野に入っていなかったものが、いざ手を付けてみたら案外面白かった。

こういうのは昔から時々ある。

エヴァンゲリオンもなんとなく敬遠してたけど、テレビ東京で深夜にまとめて放送していたのを見たらやたら面白かった。

まどマギも「魔法少女って...えー」と敬遠してたが、何かの拍子に見てみたらやたらと面白かった。

世間で話題になるものは、それを良いと評価する人がいるわけで、それなりの良さやクオリティがある。

手を付けてみて面白くない、合わないと思ったらそこから進まなければいいわけで、何事も食わず嫌いは良くないなと思う。

まあそんなこと言ってるから家が書籍や漫画で埋まるわけなんだが。

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