音楽

音楽は楽しく


そういえば学生時代の知人に高校で吹奏楽を全国大会の優勝候補レベルでやってた人がいたんだよね。

んで、学内でコピーバンドをやる時に、ここにブラスが入ったらかっこいいなと思うところがあって、彼にちょこっとだけ吹いてみない?と誘ったんだよね。

そしたら、「もう音楽は一生分やったからいい」とか「おれにとっての音楽ってつらいものだから誘わないで」と口調は優しかったけど断固として断られた。

その後しばらくして飲みの席で高校生が全国大会で賞を取るレベルで吹奏楽をやるのにどういうことをしてるかということを聞くことができた。

いわく、管楽器は管の中に呼気の唾液が溜まるのでそれを捨てるバケツが足元に置いてあるのだが、唇が切れても吹くのでバケツの中が血で赤くなるとか。

土日は朝から晩まで吹いているので時々バケツに吐くやつがいるとか。

全国大会で賞は取ったけど、その頃には心がすり減ってて「だからなに?」としか思わなかったとか。

高校に楽器の推薦枠で入っていたので、むしろ「やっと辞められる」「もう吹かなくていい」としか思わなかったとか。

実際、彼は大会から帰ってきて以来、楽器のケースにも触っていないらしかった。

「吹奏楽部は体力勝負」ってのはなかなか至言だったなとは思うが。

まあここまでやれば流石にそうなるかとは思うが、ツイッターなんかでも程度の差はあるけれども似たような発言を目にする。

ピアノを習ってたけど先生が怒ってばかりいるのですぐイヤになったとか、部活で楽器やったけどもうやりたくないとか。

で、バンド界隈にもやっぱりそういう話はある。

主に音楽性の違いを埋められなかったとか人間関係がこじれたとかでバンドや楽器や、音楽そのものをイヤになってしまう話。

確かに一人でやっていれば「音楽性の違い」は発生しないし、人間関係なんて一人だからそもそも無い。

最近は一人でも十分音楽作れる状況になってもいるし。

とはいえ、誰かと一緒に音楽をやることで、それはバンドでも吹奏楽でも、自分だけではできないことができるようになる...可能性が上がる(笑)。

複数人で音楽をやる時に、結局その集団に何をどれだけ持ってこれるか、が重要になる。

オリジナル曲をやるバンドだったら、新曲を常にストックしてるとか、曲は作れなくても楽器弾かせたら文句言わせねえとか、歌詞は書けなくてもこれ歌ってと渡されたらすぐ歌えるとか。

全員が天才である必要は必ずしもないけれど、自分のパートくらいはきっちりこなせないといけない。

それに加えてプラスアルファを持ってこれる人がいるバンドは、たいてい上手く行く。

そして、曲作って再現するだけがバンドじゃないので、そのほかにもやることはあるし、それを以ってバンドに貢献ということもできる。

曲作りはやたら早くて沢山できるけれど事務作業や宣伝に全く気が向かない人がいたら、別の人がそれをやる、というようなことでもある。

とはいえ、本質は音楽なので、クリエイター、プレイヤー、エンターテイナーとしてどうかということが最終的には問われる。

例えば、バンドをライブ演奏に持っていくためには色々事前にやることがある。

曲を作る人がいて、バンドメンバーでそれを形にする。

曲を作らない人も、自分のパートを形にするために家で準備する必要がある。

デモ曲を1‐2回聴けばできちゃう人もいるし、何十回も弾きこまないといけない人もいる。

それはその人の能力だったり、蓄積だったり、あるいは過去に積み上げた遺産だったりする。

そこに使うエネルギーと時間をどれだけ確保できるか、によってバンドの楽しさは変わってくる。

自分は曲も作るしプレイもばっちり仕上げてくるのに、いざリハに入ってみたら曲を覚えてすらいないメンバーがいたら、労力を費やす甲斐がないと思うだろう。

逆に自分が準備してきたことに対して、別の人が予想を上回る要素を持ってきたら、それいいね!とテンションが上がるだろう。

プラスアルファを持ち寄ることで、色んな思いをして費やしたエネルギーが「苦労」から「やってよかった」に変わる。

そして次の「これもやろうぜ」になる。

ただ、残念なことに人に意識は様々なので、「頑張ろうぜ」と了解を取ったときに、メンバーそれぞれの「頑張る」の水準が異なることがある。

ある人は睡眠時間を削ってでもバンドに費やすし、ある人は疲れたから今日はやらないというかもしれない。

あるいはプライベートの状況が恒常的に音楽に費やすことを許さない人もいる。

常々、おれは音楽は真面目に楽しくやろうぜと言うんだけど、その「楽しい」の解釈も人によって違う。

目標が最終的に形になることでそれまでの苦労が一気に昇華されることを楽しいという人もいるし、苦労をしないことを楽しくやるととらえる人もいる。

そのへんの解釈、認識の違いがバンドの行動を左右することもある。

「大変だったけどやってよかった」「そこまで詰めないでも楽しくやろう」別にどれが正解ってわけでもない。

より重要なのは、どの位置を共通認識として持てるかだろう。

一人がこれとこれとあれもやろうぜとギンギンなのに、他のメンバーが空いた時間でできるだけやろうと思ってたら、一人だけフラストレーションがたまるだろう。

まあ、そういうことだ。

世の中には、十人十色の音楽の楽しみ方がある。

職業音楽家を目指すための手段としてバンドをやる人から、生活の彩として音楽に親しもうとする人まで、本当に沢山ある。

楽器や歌が上手くなるためには時間を費やして練習する必要がある。

果てしなく上を目指す人もいるし、まあだいたいぼちぼちで留める人もいる。

それぞれにその人が思う楽しさがある。

シビアに他のメンバーをばっさり切って上を目指してやる人もいるし、子育てしながら上手いことやりくりして音楽をやる人もいる。

何を楽しいと思うかは本当に人それぞれだし、それぞれにそれぞれのやり方がある。

だから、何を楽しいかと思う点が近い他人と組んだ方が、楽しくてうまくいく可能性は上がるだろうと思う。

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