文化

情報と教養


インターネット経由で情報が簡単に検索、入手できるようになったので、情報自体をなんでもかんでも持っている必要性は以前に比べたら薄れたかもしれない。

しかし、「検索の仕方」というのもあるので、全く無知の状態でいてよいということにはならない。

なにしろ現在我々が使っている検索エンジンは民間企業、それも海外の企業が営利活動として行っているものだからだ。

検索エンジンが検索結果を表示したからと言って、それが正しいもの、自分が求めるものであるかはまた別の話だ。

必要な情報をネットで検索して取得するには、二つのことが必要だ。

効果的な検索のやり方、つまりどのような言葉をキーワードにするかということ、そして表示された結果が自分の求めるものであるかどうかの判断、この二つだ。

的確な検索用語を入れるには、調べる人が調べたいものについてその要点を的確に把握していないといけない。

つまり、何が知りたいのかを調べる人が知っていないといけないのだ。全く知らないことは検索することができない。検索は主体的な行動なのだ。

また、話し言葉をそのまま入れても現在の技術レベルではあまり対応していない。

じゃあ検索できれば教養がなくてもいいかというと、個人的にはそれには賛同しかねる。

【教養】
・おしえそだてること。 「父は其子を-するの勤労を免かれ/民約論 徳」
・社会人として必要な広い文化的な知識。また、それによって養われた品位。 「 -を身につける」
・〔英 culture; ドイツ Bildung〕 単なる知識ではなく、人間がその素質を精神的・全人的に開化・発展させるために、学び養われる学問や芸術など。
https://www.weblio.jp/content/%E6%95%99%E9%A4%8A (Weblio辞書)

例えば、ガンダムを例に採る。

ガンダムはテレビアニメから始まり、放送開始は何年でシリーズで通算何作品あって、映画化もされていて、スピンオフがこれくらいあって、ということは検索すればわかる。

これは情報だ。

作品内のキャラクターについて、こいつはカッコよかった、こいつはダメなやつだったという印象を受ける。

これは記憶だ。

じゃあガンダムから得る教養は何かと言うと、別の事象について「ガンダムで例えるとこういうことです」と言えるということではないだろうか。

あるいは、ガンダムを観て芽生えた感情によって行動が変化し、それが外部に波及することと言ってもいいかもしれない。

沢山の情報の中から状況に合わせたものを取り出す、または持っているものを組み合わせてより良い行動をする、これが教養と言えるだろうか。

などと言いながらおれはガンダムについては全然詳しくないのだが、事はガンダムでもポケモンでも太宰治でも同じことだろう。

人間失格を読んでこういう印象を受けた、鋼の錬金術師を読んでこんな感覚になった。

それらはそれ一つだけですぐに何かをどうこうするものではない。

廃屋に降り積もる埃のようなものだ。

しかしその埃が積みあがって、いつしか床が見えなくなる。

そうした時に、いつの間にか、なにがしか外部に及ぼすものができている。

人間は意識と無意識でできているとは心理学や哲学でよく言われることだが、意識してやっていること以外に無意識的に行動してしまうこと、あるいは無意識に行動に影響してしまうものがある。

その良い部分の、さらにその原因になったものを「教養」と言うのだと思う。

ちなみに悪い部分は「悪影響」と言うんだと思うけど。

さらに言えば、教養は勝手に身に就くこともあれば、意図的に身につけることもできる。

一般的に、教養を身につけるには文学や古典作品を読むことだ、と言われているが、そう堅苦しく考えた者でもないと思っている。

確かに時間の淘汰を経たものや古くからあるものには、人間に訴えかけるものが含まれているとも言えるし、単純に昔からあるので手にした人が多いとも言える。

しかし別に文学や古典を読んでないからと言って教養が身につかないということにはならない。

大量の音楽を聴いてそれにまつわる周辺情報を集めたり、あるいはたくさんのアニメを見てそこから何かを得たり、そしてそこから他者や社会に良い影響を及ぼす行動や思考ができれば、それは音楽の教養だしアニメの教養だと言える。

気づいたら家に父親が集めた大量のレコードと音楽雑誌があって子供の頃からそれを読んだり聴いたりするのが当たり前だったと言う人にとっては、音楽の知識と教養を持っていることが当たり前だし、同じことが別のジャンルでも言える。

文学だけが人間の本質を補強するわけではない。人によってはそれは音楽やアニメ、映画によってなされるかしれない。

結局のところ、素材はただの素材でそれを手にした人間が何をどうするかが問題なのだ。

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