音楽

良いファンとは

2020/01/27


久々にちょっと辛い話。

一般消費者相手ならジャンル問わない話でもあると思うんだけど、まあロックバンドに限って言おう。

「ファン対策」「ファン対応」というのはどこでもやってる。一般企業でいう「カスタマーサービス」みたいなもんだ。

メジャーシーンならノウハウを持った運営企業や事務所などがそうした対応を行い、演者は創作とパフォーマンスに専念するという仕組みができている。

一方インディーシーンでは、運営者も少数精鋭...というか一人二人というところもよくあるし、場合によっては演者自身が運営方面を担っていることも珍しくない。

そうしたところではむしろ「ファンの質」が問われる。

例えば、何かのライブイベント(数百人規模)でいくつかのバンドの招聘を考えていて、リストの残り一枠に動員数が同じくらいの二つのバンドのどちらかを最後に残ったとする。

一つは普通のファンがいるバンド、もう一つはトラブルを起こす(過去にトラブルを起こしたことがある)ファンがいるバンド。

企画者としてはどちらを呼びたいかといえば、当然前者なわけだ。

なぜなら、自分の企画で無用なトラブルを抱えたくないからだ。

動員数が倍くらい違うというなら後者が呼ばれることもあるが、多少な差なら前者が呼ばれる確率は高いだろう。

そして、これが100人かそれ以下の動員のいわゆるライブハウスでの対バンイベントなんかになると、状況はより直接的になる。

バンドが運営をやっていることは当たり前だし、場合によってはライブハウス側から「ファン対策をしてください」みたいなことを言われることもある。

実際昔言われたことがある(笑)。

じゃあトラブルを起こさないファン、良いファンというのはどういう人のことを言うかと言うと、「一般常識が守れるファン」これに尽きる。

フロアでむやみやたらと暴れて他人をケガさせないとか、物販で長々と話し込まないとか、SNSで別のバンドをディスらないとか、女性演者に個人的な対応を求めないとか、ごくごく当たり前のことを当たり前にできる人たちが良いファン。

それで入場料払って来場してくれて、さらにグッズの一つでも買ってくれるならもう神として崇めても良い、くらいのことをライブハウスにいるバンドは思ってる。

基本的に演者はファンとは良い関係を築きたいと思っている。

だが、それはライブハウスの中やバンドとして動いている時、あとはSNS上でだけの話だ。

彼らにもプライベートがあるし、ライブハウスにいるバンドの人で専業で音楽で食ってる人は少ないので、その多くは普通に仕事もしてる。

私生活もあるし仕事もあるところで色々やりくりしてバンドをやっているのに、せっかくファンになってくれた人がトラブルを起こしてその対応で労力と時間を取られるとなるとテンション下がるし、モチベーションに影響することだってある。

というか、トラブルを起こした時点でファンなのかどうかという疑いも生まれる(バンド側に非が無い場合に限るが)。

多くのバンドは自分たちの音楽をできるだけ多くの人に好きになってもらいたい。

であればこそ、出入り禁止や警告みたいなことはしたくない。

出した音源などの作品、行ったステージへの批判や論評は甘んじて受けるが、見た目がどうとか元〇〇だからどうとか言うことは言われてもどうしようもない。

気に入らないなら見なければいいだけの話だ。ロックバンドなんて星の数ほどいるしライブハウスも都市部なら山ほどある。選択肢は沢山あるのだ。

バンドはライブハウスに同士や仲間を作りたいとは思っているが、それが友達のような個人的な関係であるかどうかはまた別の話だ。

昔自分がV系シーンにいた時に「今日は物販で話してくれなかった」というメールが来たことがあるが、おれは別にファンと話をするのが至上の目的でライブをやってるんじゃないかったんだよね。

そのへん齟齬があるなあと思っていたのだが、特にガールズバンドのシーンでもそういうところがあるみたいで、いずこも同じ秋の夕暮れ、とでも言おうかなんというか。

好きなバンドがステージに出てきたらテンション上がるし、好きな曲が演奏されたら体が動いちゃうし、人によっては泣いちゃったりするじゃない?

バンドが与えたいのはそういうことなんだよね。ただそれだけなのよ。

それを良しとして受けてくれる人がバンドにとっての良いファン。

もちろんファンにもバンドがやることを全肯定しない自由もある。

「新曲作ったんだけど、どう?」「いいね!」の関係が本来かつ究極なんだと思うけど、まあそれ以外の要素もあっていいと思う。

誰それがかわいいとかかっこいいとかでファンになる人ももちろんいるだろう。

だけど、そこはやっぱり本質じゃないんだな。音楽ありきのバンドなわけよ。

もちろんステージでの「パフォーマンス」となったら、音楽だけってわけにもいかないけどね。それはそれこれはこれなのよ。

というわけで、ライブハウスが非日常的な空間とは言え、それは非日常「的」なだけでライブハウスも社会の一部なので、一般常識に照らしてどうかってことを考えて見て欲しいなあと、ライブハウスに20年くらい出てる身としては思う次第。

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